北島「まあ弱いっすね」…失速4位、メダル逃す

[ 2011年7月26日 06:00 ]

1位でガッツポーズするダーレオーエンの横で、4位に終わった北島はガックリ

水泳世界選手権第10日 男子100メートル平泳ぎ決勝

(7月25日 中国・上海)
 五輪2大会連続2冠の北島康介(28=日本コカ・コーラ)は1分0秒03の4位でメダルを逃した。58秒71で優勝した北京五輪銀メダルのアレクサンドル・ダーレオーエン(26=ノルウェー)に1秒32もの大差をつけられ、来年のロンドン五輪で狙う男子史上初の3連覇にも暗雲が立ちこめた。今大会で金メダルを獲得すれば五輪代表に内定するが、28日からの200メートルで気持ちを切り替え、再び五輪切符獲得に挑む。

 自分のレースをさせてもらえなかった。前日まで残していた顎ひげもきれいにそり落として挑んだ北島は準決勝より前半50メートルを0秒13速く入り、5番手でターン。だが、隣のダーレオーエンははるか先にいた。「焦ったかもしれない。泳ぎが小さくなった」。得意の後半で追い上げるはずが、伸びやかな泳ぎは影を潜め逆に失速。準決勝から0秒26落とす1分0秒03で4位に沈んだ。ダーレオーエンには1秒32もの大差をつけられ、ぼう然とした表情を浮かべた。

 「やっぱ強いわ。あれじゃ勝てない。本来の力を出させてもらえなかった。悔しいよねぇ。完敗ですよ。表彰台にも乗れないのは情けない。まあ弱いっすね」

 ダーレオーエンの50メートルのラップは北島より1秒近く速い27秒20。「離れすぎて(追いつくのは)無理、無理。思い描いたストーリーと全く違う方向に行ったのは久しぶりだよ」。優勝タイムは北島が持つ高速水着禁止後の世界最速タイム59秒04を大きく上回る58秒71。想定外のライバルの泳ぎに、メダルを逃した以上のショックを受けた。

 日本代表を離れた独自の調整で大会前には調子が上がり、準備を整えたつもりだった。しかし、予選、準決勝、決勝と3本を泳ぐ戦いでタイムを伸ばせず、恩師の日本代表の平井ヘッドコーチは「泳ぎの問題じゃない。パワーがなかった。完全な力負け」と厳しい言葉を並べた。4月の代表選考会で左内転筋を肉離れし、拠点の米国に戻る予定が1カ月以上遅れた。故障は癒えたが泳ぎ込みは不足。調整方法についても「その場に合わせて泳ぎをつくってもダメ。一番大事なのはトレーニング。根本的な問題がある」とダメ出しした。

 ロンドン五輪では男子で誰も成し遂げていない3連覇を目指すが、強烈なライバルの出現で一転して厳しくなった。「彼の心に自分を意識させる取り組みがこれから必要になる」。五輪王者のプライドを捨て、今後は挑戦者として臨む覚悟だ。

 28日からは200メートルが始まる。不安を残して迎えることになるが、今大会は50メートルにあえてエントリーしなかったため、2日間疲労回復と泳ぎの修正に時間を費やせる。北島にはまだ五輪切符も自信も手に入れるチャンスが残っている。

 ◆男子100メートル平泳ぎ
(1)ダーレオーエン(ノルウェー) 58秒71
(2)スコツォーリ(イタリア) 59秒42
(3)ファンデルバーグ(南アフリカ) 59秒49
(4)北島 康介(日本コカ・コーラ) 1分0秒03

[世]リカード(豪州)58秒58 
[日]北島 康介 58秒91

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2011年7月26日のニュース