早大14年ぶり復活V!箱根に手応え

[ 2010年10月12日 06:00 ]

2時間10分5秒の大会新記録でゴールする早大の最終走者・平賀翔太

 3大大学駅伝の初戦で、早大が96年以来14年ぶり2度目の優勝を果たした。出雲全日本大学選抜駅伝は11日、島根・出雲大社前~出雲ドーム前の6区間44・5キロで行われ、早大は1区からトップを守り切り、2位の日体大に1分11秒の大差をつける2時間10分5秒で完全勝利。04年に就任した黄金時代のエース渡辺康幸監督(37)は指揮官として初のタイトルを獲得し、名門復活を印象づけた。11月の全日本大学駅伝、そして来年1月の箱根駅伝で3冠獲得を目指す。

 伝統のエンジのタスキがトップでゴールテープを切った。最終6区の平賀(2年)は誇らしげに右手の人さし指でNo・1のポーズをつくって、仲間たちの元へ駆け込んだ。2位の日体大の姿は見えない。1分11秒差。伝統復活をアピールする圧勝劇だった。

 就任7年目にして3大駅伝で初優勝した渡辺監督は「今までは詰めが甘くてタイトルが獲れなかった。(シーズンの)頭で一つ獲れたら、面白いと思っていた」とほおを緩めた。

 入学時から期待されていた3年生2人がきっちり仕事を果たした。1区の矢沢は山梨学院大のケニア人留学生、コスマスに序盤から1人で食らいついた。ラスト1キロでスパートをかけ、17秒もの貯金をつくった。2区の1年生・大迫が日体大に9秒差まで詰められたが、続く3区の3年生、八木が奮闘。昨年の箱根5区で出遅れるなど大舞台で結果を残せなかった男が区間トップの走りで28秒に差を広げた。前半でつくったいい流れに、後半の選手も乗った。6区間中4区間で区間賞。一度もトップを譲ることはなかった。

 高校の有力選手が続々と入学し、ここ数年は常に優勝候補に挙げられていたが、王座には届かなかった。今年1月の箱根では7位と惨敗した。渡辺監督は今季、重圧を覚悟の上で「今年は3冠を獲る」とあえて選手たちに公言した。「それだけの選手がそろっている。何か変えないといけなかったが、まずは私が変わることから始めた」。選手と接する時間を増やし、特定の選手だけでなく、全選手に細かい指導が行き渡るようにした。エースとして期待する矢沢は8月に欧州遠征に送り出した。八木には8月に月間1000キロを超える距離を走らせ、自信を植えつけた。2年前の主将竹沢健介(現エスビー食品)のような大エースはいないが、総合力で戦えるチームに成長した。

 渡辺監督は「胴上げの時に、軽いほうがいい」と80キロ以上あった体重を70キロまで減量したが、今回の胴上げは見送られた。「最後(箱根)だけと思ってください。出雲が目標じゃないですから」。11月の全日本、そして来年の箱根へ向けて最高のスタートを切った。

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2010年10月12日のニュース