藍 綾子超え年間5勝目!世界一に返り咲き3冠!

[ 2010年8月24日 06:00 ]

優勝カップを前に笑顔の宮里藍

 USLPGAツアーのセーフウェー・クラシック最終日は22日、オレゴン州ノースプレーンズのパンプキンリッジGC(6546ヤード、パー72)で行われ、宮里藍(25=サントリー)が米ツアー自身初の完全優勝で2カ月ぶりに今季5勝目(通算6勝目)を挙げた。3打差の単独首位から出て72にまとめ、通算11アンダーで2位に2打差をつけて初日からの首位を守り抜いた。米ツアーでの日本人選手のシーズン5勝は87年に賞金女王となった岡本綾子の4勝を抜き、単独最多勝利記録。賞金ランク、世界ランク、年間最優秀選手レースの3部門で、いずれもトップに返り咲いた。

 歴史的勝利へ、30センチのパーパットを残すだけだった。オレンジ色の西日が差し込む18番グリーン。短いウイニングパットを沈めた宮里は、両手を上げて万歳。勝者だけに注がれる大歓声を、体いっぱいに受け止めた。
 「本当にタフな試合でナーバスにもなった。やさしい優勝はないですね。5回の優勝は勝ち方がすべて違うのでいい経験になりました」。米ツアー自身初の完全Vに涙はなく、“世界のアヤコ”を超えるシーズン5勝でまた1つ壁を破った。

 前週の日本ツアー、NEC軽井沢72は最終日首位スタートで「周りの期待に応えたい」と空回りも、この日は違った。序盤は冷たい雨が降る悪条件となり「グリーン上の読みに影響があった」と2、7番でボギー。クリスティー・カー(米国)に並ばれたが「相手が伸ばしてくるのは分かっていた。自分が伸ばそうと思うのはつらい。この瞬間に集中しなきゃ」。9番ティーグラウンドに到着すると2組前の選手がプレー中で20分ほど待たされたものの、ギャラリーにサインをするなどリラックスして気持ちを切り替えた。その9番で4メートルのバーディーパットを沈めると、10番でも第3打を2メートルへピタリ。再び試合の主導権を握り、終盤崩れたライバルたちを尻目に逃げ切った。

 今季平均飛距離は87位の244・4ヤードと飛ばせない宮里が勝ち続けられる理由は、巧みな小技にある。米ツアー参戦当時は飛距離を求め小技の練習量が減ったが、スランプにもがいた時期に参加したジュニアクリニックが転機となった。リクエストに応え、ふんわりと上げるアプローチを披露したが「フロップショット(上げるアプローチ)じゃない!」と、米ツアーのプレーを見て目の肥えた子供たちが“ダメ出し”。これが負けず嫌いの心に火を付け、小技練習に時間を割くようになった。今大会も絶妙なアプローチでピンチを乗り切り、54ホールでボギー4つは決勝に進んだ75選手中最少だった。

 賞金ランクと年間最優秀選手争いで1位に返り咲き、世界ランクも1カ月ぶりに1位復帰。「また1週間で(1位が)終わらないように頑張ります」と肩をすくめたが、「目標のプレーヤー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手)に向かってやっていくだけ。あらためて自分のプレーに徹するのがキーだと分かった」。勝ってかぶとの緒を締め、26日開幕のカナダ女子オープンから再び自分との戦いに挑む。

 ≪プロ転向後20勝目≫宮里の米ツアー年間5勝は、87年の岡本の4勝を抜いて日本人最多記録となった。宮里は日本ツアーでは05年に6勝、04年に5勝している。なお、米ツアーでの年間最多勝利記録は63年のM・ライトの13勝、次いで64年のM・ライト、02年のA・ソレンスタムの11勝となっている。
 また、宮里はセーフウェー・クラシックでプロ転向後20勝目を挙げた。内訳は日本ツアー14勝、米ツアー6勝。なお、アマチュア時代の03年に日本ツアーのミヤギテレビ杯ダンロップ女子でも優勝しており、ツアー通算では21勝目。
 3日間首位を守った宮里は米ツアーでは6勝目で、自身初めての完全優勝を飾った。日本ツアーでは15勝のうち、05年の日本オープンなど3試合で完全優勝を達成している。

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2010年8月24日のニュース