肩透かし?意見交換会なのに“説明会”

[ 2010年8月24日 06:00 ]

ガバナンス整備に関する独立委員会の会議全景

 日本相撲協会は23日、東京・両国国技館で親方衆や横綱・白鵬ら十両以上の力士、一定の格付け以上の行司、床山ら約250人を集めて非公開の意見交換会を開いた。公益財団法人の認定に向けた説明が行われたが、肝心の質疑応答では親方衆が2、3人発言しただけで、活発なやりとりはなし。意見交換会とは名ばかりで、立ち会った「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」(独立委)のメンバーらも失望する“説明会”にとどまった。

 意見交換会は2部構成で、最初に講師として招いた公益法人協会の太田達男理事長が公益法人の定義、あり方などを説明。公益財団法人として認められるには大相撲の興行が公益事業と認められることが必須で、不祥事の根源を断ち切ることが不可欠だと結論づけた。
 親方衆や力士らは静かにモニターなどを凝視していたが、質疑応答になっても室内は静まりかえっていた。2、3人の親方が確認程度の質問をしただけで、力士、行司、呼び出しからの意見は一切なかったという。「親方の前で力士は意見を言えませんよ」との声も出たため質疑応答は終了。結局、力士、行司らがそれぞれ会合を開いて意見を集約し、協会側に提出することになった。
 会見した放駒理事長(元大関・魁傑)は「忌憚(きたん)ない意見を、ということで始まったが、残念ながら力士からの発言はなかった」と説明した。だが、番付社会では力士が師匠らの前で積極的に発言できないのも事実で、ある親方は「自分でも言えないのに、力士はもっと言えないだろう」と話した。出席した独立委の渡辺美樹委員(ワタミ代表取締役会長)は「説明会だよ。スケジュールを空けたのに来なきゃよかった。相撲で言ったら肩透かしです」と失望気味に振り返った。
 同委員によると、意見交換会ではある中堅親方から理事たちに対し、解任騒動のあった望月浩一郎弁護士の契約解除をあらためて求める意見も出た。だが、執行部は明確な回答をせず、受け流すだけだったという。依然としてくすぶっている協会内の不満にすら対応できない状況に、同委員は「理事は何も答えなかった。組織の体を成していない。経営者が一番やってはいけないこと」と痛烈に批判した。

 ▼大関・琴欧洲 あんなにたくさんの人がいて、意見なんて言えるわけがない。
 ▼大関・魁皇 それぞれにとって有意義だった。次は力士会だけで話し合いたい。
 ▼北の湖理事(元横綱) 公益法人の問題は協会員全員が意識しなければいけないから、こういう会は大事。勉強会と思えばいい。

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2010年8月24日のニュース