ワタミ会長が提案…秋場所で独立委“総見”も

[ 2010年8月17日 06:00 ]

春日山部屋を訪れて春日王(右端)らの朝稽古を見学した渡辺委員(左から二人目、左端は春日山親方)

 日本相撲協会の全般的にわたる改革案をまとめる「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」(独立委)の渡辺美樹委員(50=ワタミ代表取締役)が16日、神奈川県川崎市の春日山部屋を視察した。相撲部屋を初めて見学した渡辺委員は各委員による“現場視察”の必要性を強調。独立委による本場所視察や稽古見学など、総見の実施を提案した。これまではヒアリング主体だったが、秋場所(9月12日初日、両国国技館)からは最前線でも独立委の目が光ることになる。

 渡辺委員が向かったのは、東京都大田区にあるワタミ本社から車で1分ほどの春日山部屋だった。午前9時に部屋を訪れ、幕下力士と十両・春日王の稽古を見学。師匠の春日山親方(元幕内・春日富士)の説明に何度も耳を傾け、力士の給料や食費、さらに1日に使用する米の量などを熱心に聞いた。約3時間半の視察を終えた渡辺委員は「もの凄い迫力で、一生懸命稽古をやっていることも分かった。実際に間近で見て感じるものもあった」と大きな収穫があったことを強調した。
 相撲協会の改革を目指して発足した独立委だが、メンバーの中には相撲に精通していない委員も多く、協会内には「机上の理論だけで何が提言できるのか」との声も出ていた。渡辺委員もこうした経緯を踏まえ「自分の意見がずれていないか、確認するうえでも大事なことと分かった」と部屋視察の意義を強調。「地響きのような力士のぶつかり合いを感じないといけない。それを感じていない人に改革の資格はない」と、今後は独立委で部屋を視察したり、横審のように本場所を視察する“総見”の開催を強く訴えた。
 また、渡辺委員は飲食店チェーンの経営者らしく、相撲部屋は将来的に相撲協会とは独立した形態で運営されるべきとの理論を展開。また、年寄株が退職金のような扱いを受けることにも疑問を投げかけた。今後についても「自分自身が提言するための裏付けとして、他の親方ともどんどん意見交換したい。独立委の委員として当然のこと」と語り、近日中に貴乃花部屋を視察することも示唆した。1カ月後に迫った秋場所では、独立委の面々が土俵ににらみを利かせることになりそうだ。

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2010年8月17日のニュース