“国技館飾れ”貴乃花親方が稀勢の里にゲキ

[ 2010年5月9日 06:00 ]

<大関・魁皇、最後の優勝額撤去>国技館に残った魁皇最後の優勝額が作業員の手によって撤去された

 大相撲の本場所前日恒例の優勝額贈呈式が8日、東京・両国国技館で行われた。04年秋場所を制した大関・魁皇の優勝額が撤去され、館内に掲示されている優勝額32枚のうち日本人力士は栃東(06年初場所)の1枚だけとなった。来年秋場所にもすべての額が外国出身力士となる危機に、22回の優勝を誇る日本協会理事の貴乃花親方(元横綱、本紙評論家)は次の日本人優勝力士として関脇・稀勢の里を指名。9日に初日を迎える夏場所での優勝争いを厳命した。

 人影もまばらな午前8時30分、国技館の西方に掲げられていた魁皇の5度目の優勝額が協会職員10人によって撤去された。優勝額は常時32枚が飾られているが、朝青龍、白鵬らモンゴル勢の台頭で、残る日本人力士は06年初場所の栃東のみ。それも来年秋場所には撤去される。日本人最後の優勝から4年以上が経過。国技の一大危機とあり、平成の大横綱、貴乃花親方はこの日、次の日本人優勝を稀勢の里に託した。「十分(賜杯を手にする)実力は備わっています」と評価した上で「そういう状況ならば、なおさら優勝を期待したい。白鵬、把瑠都、稀勢の三つ巴になれば場所も盛り上がります。(一角に)食い込んでほしい」と激励の言葉を贈った。
 稀勢の里は春場所で9勝を挙げ、4場所ぶりに東関脇に復帰。しかも把瑠都が大関に昇進し、刺激を受けている。4月29日の稽古総見では把瑠都相手に3連勝。1日の二所ノ関一門の連合稽古でも関取最多の38番をこなすなど、ひと皮向けた姿を印象づけた。前日調整は千葉県松戸市の鳴戸部屋で幕下力士と11番。体調不良で連合稽古を2日間欠席したものの、「大丈夫です」と不安を打ち消し「常に(気持ちは)一緒ですから。やることは変わりないです」と闘志を口にした。
 外国出身力士の“優勝額完全占拠”まで、残り8場所。だが、朝青龍の引退で流れは変わりつつある。「(稀勢の里には)若い子供がこの世界に入っていくきっかけをつくる役目もある。結果を恐れず土俵に上がること」と貴乃花親方。23歳の背中には、今まで以上に大きな期待が注がれている。

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2010年5月9日のニュース