千代大海に引導渡した男が思い出の地で幕内在位100場所

[ 2010年3月4日 16:43 ]

東関部屋へ出稽古した魁皇

 37歳の大関魁皇が、幕内在位場所数を前人未到の100に乗せて大相撲春場所(14日初日・大阪府立体育会館)を迎える。大阪は22年前に初土俵を踏んだ思い出の地。「大阪には何か懐かしい雰囲気がある。そこで100場所はきりがいいよね」と笑みを浮かべた。

 4日は大阪市平野区の東関部屋へ出稽古し、幕下以下の力士に30番胸を出した。「若い衆と戯れただけだよ」と話す表情は明るい。大きな節目の場所に向け「相手と同じように、勝負に勝つという気持ちでおれもやるだけだ」と力を込めた。
 初場所3日目には同じ九州出身で盟友の千代大海を土俵に叩きつけ、単独史上1位の幕内通算808勝をマーク。相手に引退を決意させたこの一番が、実は魁皇にとってもピンチだった。「記録を達成したと同時に千代大海がやめた。おれはいつまで現役をやってるんだろうと思うと、負けても急に悔しくなくなってきたんだ」と言う。
 折れそうな心を奮い立たせてくれたのが、同世代のファンからの手紙だった。「いろんなものの間に挟まれ、おれたちの年代は今、きつい立場だと思う。そんな人たちから『大関の相撲には励まされる』と言われると、心に迫るものがある」。
 傷だらけの体で闘う魁皇の姿は、今や大相撲ファンの枠を超えて共感を呼ぶ。「場所中はまだドキドキする。この緊張感がなくなったら終わりだよ」。土俵への熱い思いは、いくつになっても変わらない。

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2010年3月4日のニュース