“アラフォーの星だ!”伊達13年ぶりツアーV

[ 2009年9月28日 06:00 ]

夫ミハエル・クルムに祝福されるクルム伊達公子

 女子テニス韓国オープン最終日は27日、ソウル・五輪公園テニスコートで行われ、女子シングルス決勝で世界ランク155位のクルム伊達公子(39=エステティックTBC)が同23位のアナベル・メディナガリゲス(27=スペイン)をストレートで破り、13年ぶりのツアー優勝を飾った。歴代2位のツアー年長優勝で日本人選手最多の通算勝利数を8に伸ばした。昨年4月に現役復帰した“アラフォーの星”は39歳の誕生日を迎える28日に東レ・パンパシフィック・オープン(東京・有明)1回戦に登場する。

 かつて活躍した1990年代よりスピードもパワーも進化した今のテニスにクルム伊達は適応した。復帰後初、96年以来13年ぶりのツアー制覇を成し遂げた。「復帰後初めての優勝で信じられない。ツアーでは勝てそうで勝てない試合が続いたが、あきらめずにチャレンジした」。顔には興奮と喜びが満ちあふれた。
 サーブのスピードでは劣っても、ところ狭しとコートをカバー、巧みなショットで相手の不意を突いた。第2セット第2ゲームを0―40から粘ってキープすると、続く第3ゲームをブレークした。ネットプレーも光り、前週の大会で敗れた第2シードのメディナガリゲスに雪辱を果たした。
 女子テニス協会(WTA)ツアーは4大大会を頂点とし、賞金額や世界ランキングの基準となる獲得ポイントが異なる。韓国オープンは「インターナショナル」という最も下の格の大会で、トップレベルの選手は参加していない。だがクルム伊達は準々決勝で世界21位のハンチュコバ、準決勝で昨年優勝の同54位のキリレンコを破った。ランク上位の選手に脅威を与えたことは間違いない。
 昨年4月に現役復帰してからツアーの下部大会の勝利は手にしたが、ツアーは昨年9月の東レ・パンパシフィック・オープンに復帰後初出場して以来、厳しい組み合わせと両足のけいれんに悩まされて勝てなかった。そこで8月の全米オープン予選後に米国で医師の診察を受け、水分と塩分の適切な摂取方法を学んだ。おかげでけいれんは出なくなった。
 また全米で4強入りしたウィックマイヤーら10代の選手に志願し一緒に練習したり、腹式呼吸運動「ピラティス」で体幹を鍛えるなどあらゆる面で努力を重ねた。「ケガなく夫のサポートがあれば、あと2、3年やりたい」。観戦したレーサーの夫ミハエル・クルム(39)の横で笑った。
 この優勝で世界ランキングは100位前後まで上昇し、来年1月の全豪オープンの本戦からの出場も見えてきた。今季の日本テニス界は錦織圭が右ひじ痛で長期離脱し、杉山愛は引退発表したが、クルム伊達の向上心は衰えない。39歳の誕生日となる28日には東レ・パンパシフィック・オープン1回戦でウォズニアクと戦う。世界のトップが集う大会で、もう一度輝けるか楽しみだ。

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2009年9月28日のニュース