「嘉納家」勇退…講道館の新館長に上村氏

[ 2009年3月13日 16:53 ]

講道館の新館長に就任が決まった上村春樹氏

 柔道の“総本山”講道館の最高決定機関である維持委員会が13日、東京都内で開かれ、嘉納行光館長(76)の退任と全日本柔道連盟(全柔連)専務理事の上村春樹氏(58)の新館長就任が決定した。上村氏は、嘉納氏が兼務している全柔連会長にも就任する見込みで、4月から日本柔道界のトップが交代する。

 歴代の館長は1882年の講道館設立時から嘉納家とその親族が務めており、柔道界の表舞台から「嘉納家」の名が消えることになった。
 創始者嘉納治五郎氏の孫で1980年から館長を務めてきた行光氏は退任理由のひとつに高齢を挙げ、「心身とも健全なうちに後継者を選ぶべきと思っていた」とし、世襲制については「全然考えていなかった」と話した。
 上村氏は76年モントリオール五輪無差別級の金メダリスト。日本代表監督、強化委員長を歴任して強化面で実績を残した。2006年から全柔連の専務理事、07年からは国際柔道連盟(IJF)理事を務めている。就任について「競技面の全柔連と人づくりの講道館。重複する仕事もあり、相乗効果でより高いレベルを求めることができる」と抱負を述べた。
 ◆上村 春樹氏(うえむら・はるき)明大卒。全日本選手権で73、75年に優勝。75年世界選手権無差別級で初優勝。76年モントリオール五輪無差別級で金メダルを獲得した。88年ソウル、92年バルセロナ両五輪の日本男子監督。全柔連では男子強化部長と強化委員長を経て06年から専務理事。07年から国際柔道連盟理事、日本オリンピック委員会理事を務める。昨年の北京五輪では日本選手団総監督。58歳。熊本県出身。
 ▼上村春樹・講道館次期館長の話 大変な重責。最初にお話をいただいたときはお断りした。今もまだ緊張している。拝命した以上、柔道を世界に正しく広めていく。嘉納家の意思を継ぎながら、自分のできる範囲で表現していければいいと思う。

 ▼嘉納行光・講道館館長の話 適当な時期にやめるべきと考え、実際には2年前ぐらいにやめようと思ったが、最終的に今年三月と決心した。後を託す人を選ぶ責任があり、随分と悩んだ。上村氏は非常に嘉納師範を敬愛し、柔道を愛し、強い信念を持っている。

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2009年3月13日のニュース