器用さが武器 世界が認めた“エア・ケイ”

[ 2008年9月1日 06:00 ]

 【全米オープンテニス 男子シングルス3日】プロ転向5カ月目の今年2月にツアー初優勝。4月には世界ランクが100位以内に突入するなど、日本だけでなく世界から注目される存在となった錦織。その強さの秘密は、米国で与えられた“エア・ケイ”のニックネームに隠されていた。

 この日もウイニングショットとなったフォアハンドが、錦織の最大の武器であることは、世界が認めている。「ケイのフォアは一発で(ゲームを)決める力がある。いずれは世界のトップ5に入ってくる」と絶賛したのは、6月のアルトワ選手権(ロンドン)で対戦した現世界1位のラファエル・ナダル(22=スペイン)だ。この試合で1セットを奪われたナダルは、昨年の全仏で錦織を練習パートナーに指名するなど、早くから才能を認めていた。
 ジャンプしながらテークバックで体をダイナミックにひねり、大きなパワーを生み出す右打ちのフォアに、ついたニックネームは“エア・ケイ”。細身ながら体幹の力を最大限に生かすため、ボールに力が伝わる。さらに、天性の手首の柔らかさでギリギリまでボールを体に引きつけ、コンパクトで速いスイングで叩くため、コースを読ませない利点もある。
 「ラケットをとても器用に扱う。球さばきのうまさに感心したことがある」と証言するのは、錦織が最も尊敬する前世界1位のロジャー・フェデラー(27=スイス)。自慢のフォアだけでなくロブやドロップショットを織り交ぜたプレーは多彩で、時に予想を裏切る。ベースライン後方など、難しい位置になるほど燃える性格も、勝負強さに結びついている。
 日本協会の盛田会長は「勝敗より、まず面白いテニス、お客さんを喜ばせるプレーをしようという姿勢がある。それが結果としてスーパープレーを生んでいる」と評する。英語も話せなかった13歳のとき、単身で米国に渡って身につけたチャレンジャーの魂も、錦織の最大の武器といえる。

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2008年9月1日のニュース