全米主役!!錦織8強も「いけると思う」

[ 2008年9月1日 06:00 ]

錦織は勝利が決まった瞬間、観客席に向かって大きなガッツポーズ

 全米オープンテニス第6日は30日、ニューヨークのビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターで行われ、男子シングルス3回戦で世界ランク126位の錦織圭(18=ソニー)が、同4位で昨年4強のダビド・フェレール(26)をフルセットの末に破る快挙を達成した。全米オープンの68年のオープン化以降で日本男子が4回戦に進むのは初めて。前身の全米選手権を含めても、37年の中野文照、山岸二郎以来、71年ぶりで、4大大会では95年ウィンブルドン選手権8強の松岡修造以来だった。また1つ歴史を刻んだ“テニスの王子さま”は、8強入りを懸け4回戦で世界17位のフアンマルティン・デルポトロ(19=アルゼンチン)と対戦する。

 冷静だった観客が、いつの間にか錦織とフェレールの名を交互に大合唱していた。「静かに」と主審が何度、たしなめても興奮は収まらず、大きなウエーブも巻き起こった。最終セット、3度目のマッチポイント。得意のフォアでものにすると、コートに倒れ込んで両腕を突き上げた。
 「うれしいとしか言いようがない。最後まであきらめないで戦えた」。鳴りやまない拍手の中、引き揚げてきた錦織は興奮気味に英語で答えた。「決まりきったプレーは好きじゃない。お客さんをびっくりさせるようなことをしたい」。幼いころから目指していたテニスで、4大大会の観客の度肝を抜いた。
 強打が武器の世界4位との真っ向勝負。第4シードを相手に失うものは何もない18歳は、最初から勝利に突き進んだ。第1、第2セットは勝負どころで相手サービスをブレークし、ともに6―4で押し切る。フォアの強打、巧みなロブやドロップ。多彩なショットは、まさに「決まりきったプレー」ではなかった。
 だが、16強への道は簡単ではない。「いつもの強いフェレールになってきた」第3セットからは、今大会初戦から続く両脚のけいれんにも見舞われた。だが、劣勢の第4セット、錦織は「5セット目勝負。4セット目は捨てる」と冷静に考えていたという。
 最終セット前にマッサージを受け、5―3で迎えた第9ゲーム。1度はマッチポイントを手にしたが、逆にブレークを許した。6―5として迎えた第12ゲームは、さすがに「緊張で手が震えた」が「5セット戦えることを楽しもう」と切り替えた。火の出るようなフォアで奪ったマッチポイントを今度は逃さない。再び強烈なフォアを打ち込んでブレーク。3時間32分の死闘を「実際、楽しかった」と振り返った。
 お互いに奪った得点は155ポイントずつ。世界ランクで122も差がある格上との大接戦を制した。6月のアルトワ選手権で、世界1位のラファエル・ナダル(スペイン)から1セットを奪った「あの自信もあった」という。
 次戦の相手は、今季ツアー4勝を挙げているデルポトロ。13歳のときに1度対戦して負けた1メートル98の強敵だが「いけると思う」と力強い。今は「オープン化以降初」や「松岡修造以来」という形容で快挙を称えられる錦織。これからの戦いは、1つ1つが、日本の枠を飛び出し、世界へ飛躍する道になる。

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2008年9月1日のニュース