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糖尿病は症状が出てからでは手遅れになることも…11.14は世界糖尿病デー

[ 2025年11月5日 09:30 ]

eatLIFEクリニック市原由美江院長
Photo By 提供写真

 食欲の秋。運動不足や食べ過ぎが重なり、健康診断や人間ドックで血糖値が高いと指摘された人も多いはず。自身の血糖状態を把握することが、糖尿病や、その先の恐ろしい合併症を予防し5年後、10年後の健康維持にもつながるという。糖尿病や生活習慣病が専門のeatLIFEクリニック・市原由美江院長に詳しい話を聞いた。

【11月14日は「世界糖尿病デー」】
 糖尿病の正しい理解と予防意識を広める目的で制定された11月14日の「世界糖尿病デー」を前に、高血糖によるさまざまな症状について、大きな関心が持たれている。
 慢性的に血糖値が高くなってしまう糖尿病の恐ろしさは、長年放置すると、一気に神経障害や網膜症、腎症などの、より重い合併症につながりやすいということ。まずは早めに自身の生活と向き合うことが第一歩と言えるだろう。

【中長期的な血糖値の推移を示す指標】
 血液検査などで分かる数値の中に、空腹時血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)があることを知っているだろうか。
 食事の影響を受けないよう、約10時間以上絶食した状態の「瞬時の血糖値」が空腹時血糖値。そして、HbA1cとは「過去1~2カ月の平均的な血糖値の推移」を反映したものだ。
 HbA1cは中長期的な血糖値の推移を示す指標で、糖尿病の治療ガイドにも「血糖コントロールの最重要指標」と記載されている。

【内科医でさえ警告を鳴らさないケースも】
 市原院長は「ご自分の血糖状態を知る際には、HbA1cを把握することが大事。人間ドック・予防医療学会では、5.6%以上であれば『要注意』になるんです」と指摘する。
 5.5%以下が基準範囲、5.6~6.4%が要注意、6.5%以上で糖尿病の可能性が疑われるが、6.5%以上にならないと内科医でさえ警告を鳴らさないケースがあるらしい。市原院長は俗にいう予備軍や境界型と言われる5.6%以上の場合は「早め早めの対応で0.1%でも数値を下げること」が重要だと説明した。HbA1cが0.1~0.2%上昇すると、糖尿病リスクが数倍増加するという研究結果もある。

【「負のスパイラル」に陥る】
 その理由として、糖尿病になってしまうと、あらゆる場面でのQOLが下がる、長期の治療により医療費がかさむ、合併症のリスクがアップするなどさまざまなものがあるが、注目すべきは「負のスパイラル」に陥ってしまう点だろう。
 高血糖が続くと、恐ろしいことに、血糖値を抑えるはずのインスリンの分泌が少なくなるため「糖毒性」といって、高血糖状態から抜け出せない、まさに負のスパイラルに陥ってしまう。また、高血糖で血管が神経のダメージを受けるため、なんとED(勃起障害)の原因のひとつでもあるという。

【血糖の対策ができる商品も】
 市原院長は「食事と運動を見直すことが大事。わかりやすくいうと〝痩(や)せるための行動〟が対策になると言えます」ときっぱり。糖尿病は症状が出ないサイレントキラーと呼ばれ、症状が出てからでは手遅れになることもある。血糖状態を知り、対策していくことが不可欠だ。
 特に食生活では、インスリンの分泌につながる無糖ヨーグルトなどは、間食としても取り入れやすいだろう。また血糖対策を謳った茶やシリアル、最近では、HbA1cの低下をサポートするヨーグルトなど、機能性表示食品も多数発売されているので、自身の食生活に取り入れてみるのも手だ。

【働き盛りを言い訳にせず】
 高血糖状態の人について「男性では働き盛りの40~50代、女性では更年期前後が多い」と市原院長は言う。そして「忙しい」、「運動する時間がない」、「寝る前に食べてしまう」と言った生活習慣が、数値の悪化に直結する。現代は、夜でもコンビニなどで手軽に高カロリーの食材を入手できることも一因となっているそうだ。
 「働き盛りということを言い訳にせず、糖尿病を自分ごととしてとらえること。血糖値を意識する食生活や運動をすることです」と市原院長。「世界糖尿病デー」を前に、自身の健康について真剣に考えてみるべきだろう。

■自身の1型糖尿病発症をきっかけに糖尿病専門医に
 市原 由美江(いちはら・ゆみえ) 医師(内科・糖尿病専門医)。自身が11歳の時に1型糖尿病を発症したことをきっかけに糖尿病専門医になる。03年、山口大学医学部医学科入学。09年卒業、国立病院機構関門医療センターにて初期研修。11年、東京女子医科大学糖尿病センター糖尿病代謝内科。16年、横浜鶴ケ峰病院付属予防医療クリニック副院長。24年、eatLIFEクリニック開業。患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富で、一児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。

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