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【天皇杯】町田・藤田社長に独占インタビュー 新参者が叩かれるのは必然「競馬界でもそうだった」

[ 2025年11月23日 05:00 ]

サッカー天皇杯決勝   町田3ー1神戸 ( 2025年11月22日    国立 )

<天皇杯決勝 町田・神戸>天皇杯を掲げる藤田社長(中央)(撮影・小海途 良幹)
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 FC町田ゼルビアの藤田晋社長(52)がスポニチの独占インタビューに応じ、初タイトルの喜びを語った。社長を務めるIT大手サイバーエージェントが経営権を取得してから約7年。高体連から黒田監督を招聘(しょうへい)した狙いや週刊誌報道で揺れた今年の指揮官の苦悩にも触れ、長期政権を託す方針も示した。(取材・構成 滝本 雄大)

 町田は「何かしらのタイトル」獲得を目標に今季が始動し、見事に有言実行。藤田社長は選手発信の目標がクラブ、チームを一つにまとめたと明かした。

 「これ(何かしらのタイトル獲得)はクラブ内で合言葉みたいになっていた。最初に言い始めたのは相馬選手だったと思う。キャプテンの昌子選手も同じようにシーズン前から言っていた。みんなで目標としてきた一体感が強かった」

 馬主としても知られる藤田社長。愛馬のフォーエバーヤングは1日(日本時間2日)に米国で行われた競馬の祭典「ブリーダーズカップ」のBCクラシックで勝ち、日本調教馬史上初の快挙を達成した。サッカーでも競馬でも新たな歴史を刻んだが、共通するのはタイトル獲得がもたらす影響力だ。

 「勝つ歴史と勝たない歴史で、そこが全然違う。2着と1着の違いがどれだけ大きいかは、競馬だとその後の子孫繁栄まで変わってくる。最後、勝ち切るか否かって大きい。勝ったら歴史に残り、子孫は繁栄するけど負けたらそうではない」

 自身が社長を務めるIT大手サイバーエージェントが18年10月、町田への経営参画を発表した。この数年でクラブを取り巻く環境は大きく変化し「やっぱり黒田監督が来たことが転換点」と言う。J2で15位に終わった22年10月、当時の青森山田高を率いていた黒田監督を23年シーズンからの監督に招聘。プロ未経験の指揮官誕生で大きな注目を集めた。

 「当時、下手すると(J3)降格圏内だった。他クラブと同じようにやっていても勝てない。差別化するためのかけだった。会わずに決めたので、公務員っぽかったらどうしようかと思っていた。選手が“監督じゃなくて、先生じゃないか”っていう感覚になるのが怖かった。でも、そんな感じが全くなく、洗練されたプロだった」

 23年はJ2独走VでJ1昇格を果たし、サッカー界の常識を覆した。一方で、勝利のために相手の嫌がる戦術を徹底するスタイルや黒田監督にはSNS上で誹謗(ひぼう)中傷が相次いだ。

 「新参者は叩かれる。私も何度も経験してきた。広告業界に入ってきた時も、競馬界に入る時もそうだった。だから炎上には慣れているので必要なプロセスを踏んだという手応えがある」

 4月には一部週刊誌が黒田監督のパワハラ疑惑を報道。クラブはヒアリングを重ねた上で完全否定し、藤田社長自らもSNSで抗議した。

 「本当にセンシティブな問題。黒田監督はすぐネットリンチに遭ってしまう。一人の監督のキャリアを終わらせてしまうことになるので、神経をとがらせながら対応して大変だった。黒田監督も心が弱って髪も抜けていた」

 プロの現場であれば厳しい指導は日常茶飯事。一方、今後を見据えた貴重な機会と捉えた。

 「今後、もしかしたら名将として誰も口出せなくなる人になってしまう可能性がある。そういう意味では今回、戒めるタイミングになったと思う。もちろん、本当に監督が良くない時はフロントとしてちゃんと対応しなくてはいけない」

 今後はリーグ制覇、アジア王者を狙う。そのためにも黒田体制の長期政権を明言した。

 「もちろんそのつもり。監督がコロコロ代わるのはクラブにとって良くない。もっと頑張ってほしいけど体調面が心配なので体に気をつけて今後もお願いしたい」

 クラブはビジョンに「町田を世界へ」を掲げる。「地盤はできたのでここからさらなる定着と強化。ACLEやクラブW杯で活躍すれば世界に町田という名がとどろく」。ここから黄金時代を築いていく。

 ◇藤田 晋(ふじた・すすむ)1973年(昭48)5月16日生まれ、福井県出身の52歳。青学大卒。98年「サイバーエージェント」を設立し、代表取締役社長に就任。00年に当時史上最年少26歳で東証マザーズ上場を果たした。18年に発足した麻雀プロリーグ・Mリーグの初代チェアマンも務め、馬主としては今月に「ブリーダーズカップ」のBCクラシックを制したフォーエバーヤングなどを所有。子会社のCygamesが「ウマ娘 プリティーダービー」を運営開発。

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