イングランド新指揮官は“宿敵”ドイツ出身 批判と反発の中、トゥヘル監督が初陣、21日アルバニア戦
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【蹴トピ】イングランド代表のトーマス・トゥヘル監督(51)が21日のW杯欧州予選アルバニア戦で初陣を迎える。宿敵ドイツから迎えられた同代表史上3人目の外国出身監督は、26年W杯北中米大会優勝を目標に掲げて1年半契約で就任。批判や反発の中で第一歩を踏み出す。
就任発表から5カ月を経て、ようやくイングランド代表で迎える初陣の舞台。トゥヘル監督が声を弾ませた。
「ついにピッチに戻って選手を抱擁し、プレースタイルや原則を実践する時が来たよ」
サッカー発祥の国で代表チームを率いる名誉と責任。それもエリクソン(01~06年、スウェーデン)とカペッロ(08~12年、イタリア)の両氏に続く3人目の外国出身監督という事実に加え、イングランドと因縁があるドイツからの招聘(しょうへい)というおまけ付きだ。反発や批判との“戦い”は昨年10月16日の就任会見から始まっていた。
「国歌は歌うのか?」や「英国に住むのか?」と忠誠心を試す質問を受け、地元紙デーリー・メールは「イングランド暗黒の日」と報道。トランプ米大統領の友人として知られる右派ポピュリスト政党・リフォームUKのファラージ党首からは「どうして我々はイングランド人の監督を持てないのか?」とSNSで疑問を呈された。
それでも会見で地元ファンへのメッセージがあるか問われた際は「ドイツのパスポートを持っていて申し訳ない」とユーモアを交えて対応。「英国人の方がふさわしいという意見を含め、さまざまな声があるのは理解できる。結果と内容で納得させたい」と続けた。
イングランド協会(FA)としても大きな賭けになる。地元開催だった1966年W杯で初優勝後、主要国際大会のタイトルから遠ざかる。昨年まで代表を8年率いたサウスゲート監督は18年W杯4位、欧州選手権では21、24年と2大会連続で準優勝した。長く8強止まりだった壁を破り、栄冠まで迫ったことは評価された。しかし、最後はイングランド歴代最多得点記録を持つFWケーンやRマドリードで主軸になったMFベリンガムら豊富なタレントを生かし切れず辞任に追い込まれた。
後任選定に入ったFAは選考過程透明化のため、候補者への接触と並行して異例のオンライン公募も開始。英国人を含む約10人と面談した末に決断した。
応募条件には「プレミアリーグや国際大会での優れた実績を伴うイングランドにおける豊富な経験」という項目があり、トゥヘル監督はこれに合致。エリクソン、カペッロ両氏は国際舞台で実績があった一方でイングランドでの指導経験はなかったが、トゥヘル監督は21~22年シーズン途中からチェルシーの指揮官に就任すると、欧州チャンピオンズリーグを制した。ドルトムント、パリSG、Bミュンヘンでスター選手とも向き合ってきた。
FAのブリンガム最高経営責任者は「W杯優勝という目標を果たすための最適任者」と強調。トゥヘル監督も「ユニホームに(優勝で)2つ目の星を加えることを目指したい」と訴える。初陣での国歌斉唱を否定し「非常に意義深く感情的で力強いものであるがゆえに、私は歌う権利を勝ち取らなければ。選手やサポーターから“彼は今こそ歌うべき”と思ってもらえるように」と発言。W杯で外国人監督による優勝は他国を含めても例はないが、実現すれば胸を張って「ゴッド・セーブ・ザ・キング」を歌う姿を見られるはずだ。
▽イングランドとドイツの因縁 1966年W杯までさかのぼる。決勝の延長前半11分に地元のイングランドが決勝点。クロスバーを叩いたシュートはほぼ真下でバウンドし、ゴールと判定された。西ドイツ(当時)の猛抗議は認められず、長く論争の的に。10年W杯決勝トーナメント1回戦では1―2の前半38分にランパードのシュートがバーを叩いてゴールラインを越えたが、認められなかったイングランドは1―4で敗退。誤審認定でゴールライン・テクノロジー導入につながった。主要国際大会決勝トーナメントの対戦でイングランドは2度のPK負けを含めて2勝4敗となっている。
≪34歳MFヘンダーソン招集で波紋 メンバー選考にSNS「疑問」≫
トゥヘル監督の初陣に向けたメンバー発表は波紋を呼んだ。23年11月を最後に代表での出場がない34歳のMFジョーダン・ヘンダーソンを招集。リバプール主将として欧州CL(19年)、プレミアリーグ(20年)優勝を支えたベテランは23年夏に加入したアルエティファク(サウジアラビア)を半年で退団。移籍先のアヤックスでは最近になって出場時間を減らしつつある状況での復帰となった。
この選考にSNSで「奇妙」「退行」「不可解」と否定的な言葉が並び、BBCが行ったウェブ調査で88%が反対。しかし、指揮官は「ジョーダンは勝ち続ける選手。アヤックスの主将でリーダーシップやエネルギーをもたらす。全員に基準を守るよう促し、求める全てを体現している」と経験値に期待する。
26年W杯までの1年半契約で優勝のみが求められ、Bミュンヘン監督時代に指導したケーンに引き続き主将を任せる方針を示すなど一から土台づくりに取り組むつもりはない。一方で活躍が際立つ32歳のDFバーン(ニューカッスル)と18歳のDFルイススケリー(アーセナル)を初招集。プレー次第では年齢を問わずに新戦力に扉を開く方針を示した。
辛辣(しんらつ)なメディアや手厳しいサポーターであふれるお国柄。今後も試合や発言のたびに厳しいチェックを受けることになりそうだ。
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