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OB槙野智章氏が語る ACL決勝戦う浦和のポイントは「西川の経験値」「伊藤が殻破れるか」

[ 2023年4月28日 05:00 ]

17年、ACLで優勝し歓喜の槙野智章氏
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 自他ともに認める“お祭り男”から熱いエールが届けられた。17年以来、3度目のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)制覇を目指す浦和は29日(日本時間30日午前2時30分キックオフ)、敵地でアルヒラル(サウジアラビア)との決勝第1戦に臨む。浦和OBで、ACLも対戦相手もよく知る槙野智章氏(35=品川CCセカンド監督)がアウェー戦でのポイントや期待する選手の名を挙げた。

 僕は浦和時代に2度ACL決勝の舞台に立ち、ともに相手はアルヒラルでした。17年は優勝し、元イタリア代表FWジョビンコや元フランス代表FWゴミスらが在籍した19年は敗れました。ACL第2戦を現地で解説するのでアルヒラルの試合は何試合も分析していますが、現在の彼らは19年と同等か、それ以上の強さ。アジアでも一、二を争うクラブだと思います。

 サウジアラビア代表選手をベースにし、欧州で活躍したことのある外国籍選手を配置。さらにアジア枠のDF張賢秀(チャン・ヒョンス)はFC東京でプレーしてJリーグを経験していますし、アジアの戦いも知っています。マンチェスターUなどでもプレーし、ACL準決勝アルドハイル(カタール)戦で4得点を挙げたナイジェリア代表FWイガロやマリ代表FWマレガらのクオリティーも高いですが、このチームの中心はサウジアラビア代表FWのS・ドサリかと思います。

 17年も19年も対戦しましたが、ボールを持った時にゴールへ向かうプレーは間違いなく脅威。味方をうまく使えるし、体を上手に使ったテクニカルなプレーも特徴的です。W杯カタール大会1次リーグでもアルゼンチン代表相手に反転して決めたゴールがありましたよね。ゲームがつくれて、さらに得点も奪える選手なのでヘタに飛び込まないことが肝要です。

 前々回も前回も、そして今回も第1戦はアウェー開催。ここでの内容と結果は第2戦に大きく影響を与えます。例えば1―1だった17年は自分たちのスタイルを捨てました。守備に重心を置いて割り切りました。結果アウェーゴールを奪い、最少失点に抑えて、埼玉に帰ってくることができました。19年も割り切って戦ったけど力の差がある0―1。相手に自信を持たせて第2戦に臨まれました。ただ第2戦をホームで戦えるアドバンテージは確実に存在します。満員のサポーターが後押ししてくれる埼玉スタジアムは実力以上のパフォーマンスを引き寄せてくれる力がある。とにかく第1戦は我慢強く戦い抜いて、プラス材料を第2戦に持ち帰ることですね。

 その意味でキーマンは、やはりGK西川。興梠、西川、関根のようにACLファイナルを知っていて、相手チームも知っている選手がいるのはプラス。そして守備的になる戦いが想定される第1戦で西川の経験値と鉄壁の守りはチームを支える上で重要になります。この大会に懸けている思いも知っていますから。そして期待したいのは伊藤。今後A代表や海外を目指す上で、この相手、この経験値はもってこいの舞台。殻を破ってほしいです。

 最後にクラブOBとして…。楽しめ!環境、レフェリー、ピッチ…マイナスに働く全てが今後の成長の力になるので、この舞台を目いっぱい楽しんでください!

 ▽17年ACL決勝 敵地での第1戦では、前半7分にラファエル・シルバのゴールで先制したが、同37分に同点とされた。その後もシュートの嵐を浴びたものの、GK西川が耐えて、1―1で引き分け。貴重なアウェーゴールを得て、ホームに戻った。第2戦では0―0の後半43分にラファエル・シルバが右足で決勝点。07年以来のアジア王者に返り咲いた。

 ▽19年ACL決勝 敵地での第1戦では体を張った守備で攻撃を止めていたものの、後半15分に失点。ただ、その後も粘り強く守って浦和の11倍となる22本のシュートを浴びながら、0―1の最少失点に抑えた。ホームでの第2戦も猛攻を受け後半29分にS・ドサリに被弾。終了間際にも追加点を許し、史上初の同大会3度目の優勝を逃した。

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