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森保ジャパン 課題は傑出した能力持つ個の育成 進化止めないため高強度の実戦を

[ 2022年12月11日 05:10 ]

FIFAワールドカップカタール大会

日本代表の森保一監督
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 【検証 森保ジャパン(5)ボール保持率】森保ジャパンは日本サッカーの可能性を示した。ドイツ戦、スペイン戦の歴史的金星は偶然の産物ではない。

 ボール保持率はドイツ戦が22%(相手65%)、スペイン戦が17%(同74%)で相手を大きく下回った。ただ防戦一方というわけではなく、ボールを保持して攻める時間帯もつくった。その時間を長くすれば強豪との差は埋まる。簡単ではないが、スタートラインには立ったと言える。

 一方、コスタリカ戦はボール保持率47%で相手(38%)を上回り主導権を握ったにもかかわらず堅守を崩すことができなかった。課題として浮かび上がるのは傑出した能力を持つ個の育成だ。

 日本サッカー協会も手をこまねいているわけではない。欧州オフィスを通じ日本国籍を持つ欧州在住の逸材の発掘に乗り出している。5~6月のモーリスレベロトーナメント(フランス)に参加したU―19日本代表には、外国人と日本人の両親を持ち欧州のクラブの下部組織に所属する高橋センダゴルタ仁胡(バルセロナ)と前田ハドー慈英(ブラックバーン)が招集された。

 反町康治技術委員長は「日本にルーツを持ち、欧州で活躍する選手は他に何人もいる。これからも招集して日本代表につなげたい」と今後も継続していく方針を示している。

 強化の過程で懸念されるのが高強度の実戦の不足になりそうだ。次回26年大会から出場国数は32から48に、アジアの出場枠は8・5に増える。出場の可能性が高くなることは歓迎だが、プレッシャーのかかる強い国との真剣勝負の機会が減るリスクもある。

 欧州ネーションズリーグが始まり欧州勢と試合を組むことは難しくなった。強豪同士で公式戦を行う欧州勢との経験値の差は広がる一方だ。日本サッカー協会にはあらゆる手段で強敵とのマッチメークを実現させてほしい。過去に2度実績のある南米選手権など他大陸の公式戦参戦の可能性も探るべきだろう。慢心が生まれれば進化は止まり、欧州や南米の列強に置いていかれる。今こそ危機感が必要だ。(特別取材班)=終わり=

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2022年12月11日のニュース