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町田の元北朝鮮代表FW鄭大世が現役引退「最高に痛快なサッカー人生 胸を張ってスパイクを脱ぎます」

[ 2022年10月28日 18:51 ]

10月23日のJ2第42節・新潟戦に出場した町田のFW鄭大世
Photo By スポニチ

 J2町田は28日、元北朝鮮代表FW鄭大世(38)が今季限りで現役を引退すると発表した。

 鄭大世は名古屋市出身で、愛知朝鮮中高級学校から朝鮮大を経て06年に川崎Fに加入。屈強なフィジカルを武器に07年からレギュラーに定着し、同年に北朝鮮代表に初選出された。北朝鮮代表が44年ぶりにW杯に出場した10年W杯南アフリカ大会では、1次リーグ全3試合に出場。初戦のブラジル戦の試合前に国歌が流れた際には感極まって涙を流し、「やっとこの舞台に立てたと思うと感動した。サッカーを始めてから、ずっとこの日を想像してやってきた。こんな大きな舞台で世界一のブラジルと戦えるなんて…」と話した。

 W杯後にドイツ2部ボーフムへ移籍。その後ケルン、韓国・水原を経て15年に清水に移籍し、Jリーグに復帰。新潟への期限付き移籍を経て21年から町田でプレーしていた。今季はJ2リーグ戦34試合に出場し6得点。J1通算は181試合65得点、J2通算130試合46得点。

 鄭大世はクラブを通じてコメントを発表。17シーズンに渡ったプロサッカー人生を振り返り、「悠然と胸を張ってスパイクを脱ぎます」とコメントした。

 コメント全文は以下の通り。

裏山の鶯の鳴き声で目を覚ます。そんな清々しい朝を迎えてた町田での2年間最後の最後まで。本当に最後の試合まで苦しかった。

これを遅くに書き上げた後に夢で、外されてるのに怒鳴られる夢でうなされ、朝思わず加筆した。
現実もそんな日常だった。

全て伏線だと言い聞かせ、この“痛みや苦しみ”は自分だけの花を咲かせるためだと愚痴りながらも、食らいついた

自分と、周りが思う今の質の差にも薄々気がついてたが

年甲斐もなく、まだできる!とギラついてたけど、変わることはなかった。

苦しさは変わらずで、こんな歳でも、悔しくて何度も泣いた。

でも喜びは、喉が裂けるほど咆哮したあの頃とは、もう違う。

同世代に勇気づけられ、ひと回り下に慰められた。歳の半分以下の選手たちと鎬を削った

幼き頃、買ってもらったユニの袖のJリーグのエンブレム
太くなった腕の袖のそれを見るたびに、胸が熱くなった。

何年も前から、今日が最後かもと毎試合トイレに篭り嗚咽を漏らして泣いてた。

酸いも甘いも味わい、綺麗事だと思ってたあの言葉も、今なら素直な気持ちで言える。

『みんなのおかげ』

こんな性格じゃなかったらもっといい景色が見えたかも?
こんなエゴイストだからここまでこれた?
違う。みんなの支えで今がある。
後悔や、人としての失敗は数え切れないけど

はっきりと言える。これが『ベスト』。


砂埃舞う大学都リーグ3部からのし上がった、最高に痛快なサッカー人生。

多くをサッカーからもらい、今は心が満たされてる。

あの頃想像もできなかった舞台で夢中で走った17年間に、

終了の笛を吹き、終止符を打つ。

悠然と胸を張ってスパイクを脱ぎます。

エゴイストなくせに馬鹿みたいに繊細で感情的な、こんな僕に関心を持ってくれて

ありがとうございました。

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