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30歳焼き肉店店主のJ挑戦「最後のチャンス」 合同トライアウト参加

[ 2021年12月18日 17:54 ]

トライアウトで猛アピールした前川(手前左)
Photo By スポニチ

 高校生以上のアマチュアサッカー選手を対象とした合同トライアウト「powered by ADP 2022」が18日、静岡・時之栖スポーツセンターで開催された。プロ入りを目指す18~30歳のアマ選手計31人が参加。スカウト、関係者9人が熱視線を送る中、紅白戦などでアピール合戦が繰り広げられた。

 この日、参加者で最年長となったFW前川将志(30)は「30歳の節目。(プロを目指す)最後のチャンスだと思った」と、挑戦理由を明かした。現在は兵庫県社会人1部(J7相当)FC猛獣王でプレーしながら、夜は自身が経営する焼き肉店「焼き肉ノ志志」で働く。この日は昨夜に神戸を出発し、車で約8時間かけてトライアウトに参加した。

 「サッカー選手になりたい夢があった」と振り返る前川は、高校卒業後に当時関西社会人1部(J5相当)の強豪・神戸FCシニアAでプレー。仕事と両立しながらプロ入りを模索してきたが、23歳で結婚したのを機に一度は現役を引退していた。しかし、Jリーガーから掛けられたある一言で競技への熱が再燃した。

 「前川さんならもっと上のカテゴリーでできるよ」。3年前、J1神戸のMF郷家友太(22)からそう声を掛けられたという。経営する焼き肉店の常連で、プライベートではともにフットサルをする仲。現役を退いても劣らないプレーぶりを見た郷家の一言に、前川は「火がついてしまった」ともう一度、プロへの挑戦を誓った。

 引退後の4年間は包丁を握り、肉と対峙する日々。一度落ちた筋肉は「今も戻らない」と話すが、仕事と家庭を両立しながら週4日、夜10時から約2時間の練習を続けてきた。この日の紅白戦では2トップの一角などでプレーし、ゴール前では好機も演出した。「このトライアウトでは、行動することの大切さを学ばせてもらった」と前川。吉報を信じ、帰路についた。

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