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天皇杯観戦男性がオミクロン株?感染…観客制限撤廃“初陣”で 周辺座席80人、都が濃厚接触か調査

[ 2021年12月17日 05:30 ]

12日、天皇杯準決勝の川崎F-大分戦を観戦する大勢のサポーター
Photo By スポニチ

 東京都は16日、都内在住の20代女性が新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」に感染したことを明らかにした。都内で、空港検疫以外で感染が確認されたのは初めて。さらにこの女性の濃厚接触者となった20代男性が、12日に川崎市の等々力陸上競技場でサッカー天皇杯の川崎F―大分戦を観戦していたことが判明。周辺にいた80人らを濃厚接触者に当たるか調べる。オミクロン株がいよいよ国内で猛威を振るい始めるのか、一気に緊張が高まった。

 オミクロン株の感染が確認された20代女性は8日、米国から帰国。空港では陰性だったが、自宅待機中の9日に発熱し、13日に陽性が確認された。16日にゲノム解析で同株と確定。現在入院中で、症状はほぼない。

 空港検疫を除けば、都内初のオミクロン株の陽性確認となったが、早くも感染者が100人規模に広がる懸念が浮上している。女性の濃厚接触者となった知人で都内在住の20代男性が、12日にサッカー天皇杯準決勝を観戦。その3日後、新型コロナ陽性と判明した。

 男性は女性が搭乗した航空機の同乗者ではなく、女性は自宅待機期間中にもかかわらず、8日から2日間にわたり会っていた。男性はデルタ株ではないことが確認されており、オミクロン株の可能性が高いとみられる。17日にも解析結果が判明する。男性は9、10日と職場に出勤。10日にはせきや発熱の症状が出ていた。そんな中で12日、天皇杯を観戦。翌13日も出勤した。男性と一緒に観戦した家族3人と職場の同僚7人が濃厚接触者と認定された。女性も男性もモデルナ製のワクチンを2回接種していた。

 男性が観戦に訪れたのは川崎市の等々力陸上競技場で行われた川崎F―大分戦。メインスタンド上層の席にいた。コロナ感染拡大後、主要プロスポーツで初めて観客数を制限せずに開催された試合で、スタジアムは約1万7000人の観客で埋まった。都は男性の周辺の座席にいた80人にPCR検査を勧め、濃厚接触者に当たるか調べている。男性の職場でも、同じフロアにいた100人以上にPCR検査を進める。

 試合はPK戦までもつれ込む長丁場となり、リーグ王者の川崎Fが敗れる波乱が起きた。関係者によると、延長後半8分、川崎FのFW小林が先制点を決めると会場のボルテージは最高潮に。立ち上がる人やため息を漏らす人はいたが、声を出して応援しないルールは、試合の最後まで守られたという。

 だがオミクロン株は、世界保健機関(WHO)が「デルタ株以上」と警戒する高い感染力があり、屋外でも感染が広がる恐れがある。ノルウェーでは11月末、120人が参加した屋外パーティーで、半数が感染した恐れがある。香港では、空気感染を疑われる例も報告された。同株が世界で初めて確認された南アフリカでは、10月に感染者全体の92%を占めたデルタ株が急速にオミクロン株に置き換わり、11月には74%に達したとされる。

 初動を誤れば、日本国内でも急拡大する恐れがある。この日は都内で30人の新型コロナ感染者を確認。30人台に乗るのは11月11日以来35日ぶり。昨年は感染者が年末年始に急増し、年明けに2度目の緊急事態宣言の発令に至った。列島は緊張の中、年末年始を迎えることになる。

 ≪決勝へ対策「検討」≫日本サッカー協会・須原専務理事は、今後の対策として「年内であれば(天皇杯の)決勝戦に向けてになるが、もう一度、周知徹底できるように我々のホームページなどでも出していきたい」と話した。「今回、決勝戦は国立競技場となる。自治体の東京都の方針をベースとしていきながら、検討していきたいと思っています」とした。

 ≪関空職員含め国内34人≫オミクロン株の国内の感染者は、関西空港で確認された空港検疫所の30代女性職員も含め、34人となった。松野博一官房長官は記者会見で、都内の20代女性について「自宅待機の間に陽性が確認され、濃厚接触者が特定されており、いわゆる市中感染が発生したものとは考えていない」と述べた。

 ≪世界のコロナ感染状況 英国爆増、カナダと韓国でも≫英保健当局は15日、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数が前日から2万人近く増加し、7万8610人に上ったと発表した。1月の流行期に記録した過去最多の約6万8000人を大幅に更新。オミクロン株の感染者も前日から4000人以上増え、計1万人を超えた。カナダも深刻だ。同国政府は15日、オミクロン株の感染拡大を受けて、必要不可欠な場合を除いて、カナダ国民に国外旅行を控えるよう求める勧告を出した。最近、感染がぶり返しており毎日4000人前後の感染が報告されている。また韓国の金富謙首相は16日、飲食店やカフェの営業時間を夜9時までに制限すると発表した。同国の15日の感染者は7622人。流行の広がりに歯止めがかからない。

 ≪増殖速度70倍≫香港大医学院は、オミクロン株の増殖速度がデルタ株に比べ、気管支内で70倍近くに達するとの研究結果を発表した。ただ、肺の中でのウイルス量は従来株の10分の1程度のため、肺炎などの重症にはなりにくく、インフルエンザに近くなる可能性があるという。16日付の香港紙、明報などが報じた。

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