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森保監督が東日本大震災への思いを語る 「日本代表として心を寄り添わすことを忘れずに」

[ 2021年3月9日 18:32 ]

日本代表・森保監督
Photo By スポニチ

 東日本大震災発生から10年を迎える11日を前に、サッカーの日本代表と東京五輪代表を率いる森保一監督(52)がオンラインの取材に応じた。自身は現役時代の最後の2年間を仙台でプレー。震災から約1カ月後には車で被災地に入り、惨状を目の当たりにした。今月の代表活動を前に、改めて人の心に寄り添い、励ましとなる戦いを決意した。

 月末にW杯アジア2次予選モンゴル戦などを控える指揮官は言った。「ただ日本代表としての特別なプレーを見せるのではない。ひたむきにチーム一丸となってタフに粘り強く戦い抜く姿勢を見せて、復興に向けて、大変な思いをしている人たちにとって、励ましとなるような内容の戦いをしたい」。

 自身は02、03年の現役最後の2年間を仙台で過ごした。「人の温かみを感じた土地でした」。震災時は新潟でコーチ。発生後、被災地の知人に助けになりたいと申し出た。だが、「生きるか死ぬか、どうしていくかというときに助けてもらえることはない」と断られた。加えて自身には災害時のボランティア経験もなく、技術もない。「自分は願うことしかできないな、ということを思い知らされた」。

 約1カ月後、チームのオフに、車で新潟から被災地に入った。かつての自宅付近や、宮城県石巻市の高台に向かった。「もしまたここで地震が来たり津波が来たら、自分の命もどうなるか分からない」。底知れぬ恐怖の中で移動し、悲惨な光景を見た。そこに住んでいた人や犠牲者を思うと、胸が締め付けられた。「何も助けることはできないですけど、心を寄り添わせて、励ましになるような活動がしたい」。そのとき「心に刻ませてもらった」思いが、日本代表監督になった今も強い。

 「いろいろな方の尽力で復興に向けて確実に進んでいるとは思いますけど、10年経ったから全てが元通りになったかというとそうではない。東日本大震災だけではなく、頻繁に起こっている自然災害や人災も含めて、復興までは本当に長い道のりだと思います。その道のりに我々が日本代表として心を寄り添わすことを忘れずにいたい」

 今月末、昨年12月以来の代表活動で指揮を執る。A代表はマッチメーク中の親善試合とモンゴル戦の2試合、五輪世代のU―24代表は強豪アルゼンチンとの2連戦を控えている。「我々ができることは、我慢強く戦い続けること。励ましになるような活動や戦い方をしていきたい」と、静かに誓った。
 

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2021年3月9日のニュース