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FC東京 11大会ぶりルヴァン杯V 長谷川監督“秘策”ズバリ 就任3年で初タイトル

[ 2021年1月5日 05:30 ]

YBCルヴァン杯決勝   FC東京2―1柏 ( 2021年1月4日    東京・国立競技場 )

優勝し喜ぶFC東京イレブン(撮影・西海 健太郎)
Photo By スポニチ

 FC東京が11大会ぶり3度目のルヴァン杯優勝を飾った。1―1で迎えた後半29分に同MFアダイウトン(30)が決勝ゴール。今季はコロナ禍に翻弄(ほんろう)されながらも若手の積極起用などチーム力の底上げを継続。長谷川健太監督(55)のカップ戦の“秘策”もはまり、18年に就任して以来初の優勝で、賞金7500万円を獲得した。

 終了の笛が鳴ると歓喜の声がこだました。ピッチに倒れ込んだ守護神のGK波多野の目からは涙が止めどなくあふれてくる。ベンチに控えていた選手たちはピッチ上になだれ込み、スタッフは円陣で喜びを分かち合った。18年の監督就任以来、同クラブで初タイトル。勝負師・長谷川健太の3年間が結実した。

 「タイトルを獲ると他のタイトルが近寄ってくる。なんでもいいから3大タイトルを獲りたいと思っていた」

 前半16分、レアンドロが3人抜きから先制弾。前半終了間際に同点とされ、後半は相手の攻勢にさらされた。それでも長谷川監督は反攻の時をじっと待った。「こちらのパワーをどう引き出すかを考えていた。レイソルの攻勢が一服し、レアンドロのFK後に攻勢をかけるべく三田とアダイウトンを投入した」。22分に選手交代を行うと、この采配がドンピシャ。29分にはアダイウトンが左足でゴールネットを揺らした。

 一点突破でたどり着いた大舞台だ。「勝負どころ」とにらんだ準決勝の川崎F戦の直前、リーグの湘南戦は前節から先発11人を入れ替える大胆なターンオーバーを採用。それでも東京五輪世代のFW原やMF品田が躍動して勝利をつかむと、休息を入れた主力組の好パフォーマンスもあってリーグ王者に土をつけて決勝に進んだ。
 コロナ禍で異例の過密スケジュール。主力の日本代表MF橋本や同DF室屋が欧州挑戦する中、安間コーチや長沢コーチによって数年スパンで鍛えられた若手を積極的に抜てきした。左右サイドバックをこなすDF中村帆は、現役時代にクロスの名手だった佐藤コーチにマンツーマンで教えを請い、練習後に何本も何本もボールを蹴り込んだ。この日も東京五輪世代が5人先発し3人がベンチ入りするなどチーム力は底上げされた。

 長谷川監督の就任当初、クラブには緩慢な空気が流れていた。すぐ引き締めに着手し、勝利にこだわる姿勢を求めた。10年から所属する元日本代表DF森重も「戦術や技術もあるが(以前は)勝ちたい気持ちというサッカーをやる上で本質的な部分が足りていなかった。そういうのを毎日のように言ってくれた」と“健太効果”を証言する。2万4219人をのみ込んだ国立競技場。勝負師に率いられた青赤のユニホームを身にまとった戦士たちは、今まさに常勝軍団への道の一歩をしるした。

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