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FC東京・渡辺剛「手記」――“怪物”オルンガ封じ、記憶に残る今季最後の試合に

[ 2021年1月5日 05:30 ]

YBCルヴァン杯決勝   FC東京2―1柏 ( 2021年1月4日    東京・国立競技場 )

<柏・FC東京>後半、オルンガと競り合いヘディングする渡辺(撮影・篠原岳夫)
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 プロ入り2年目で勝ち取った初優勝は格別です。今季リーグ戦得点王のオルンガ選手とバチバチにやり合い、前半早々に倒され、右肩から落ちました。痛みもありましたが、腕がもげてもやると思った。根性でどうにかなった。(オルンガは)隙を与えたら点を取る選手。相手が嫌がるプレーを意識し、JリーグのNo・1を抑えられました。

 コロナ禍でリーグ戦が中断し、ルヴァン杯も11月の決勝が延期。例年は天皇杯の決勝がシーズン最後の試合になりますが、今季はこの大会がシーズンを締めることとなり、ある意味で記憶に残るのではないでしょうか。

 前回、FC東京がルヴァン杯(当時はナビスコ杯)で優勝した09年は下部組織に所属し、現地観戦したのを覚えています。先輩の姿はとても格好良く、その風景に憧れて、あの舞台で優勝杯を掲げるんだと思いました。「タイトルを獲りたい」と強く思い入団しましたし、強い相手に勝利して一つの目標がかなった喜びはひと言ではとても表せません。

 慶悟君が負傷離脱し、代わりにキャプテンマークを巻いて多くの試合に出た一年でもありました。テツさん(長沢徹コーチ)や慶悟君の言葉はもちろん、大学時代にコンビを組んでいた上島(拓巳=福岡)の叱咤(しった)激励も支えになりました。今季、柏からレンタル移籍した福岡でキャプテンマークを巻いたライバルには、絶対に負けられないという気持ちもありました。少し前に連絡したときには「レイソルも剛も応援しているけど、どっちが優勝してもうれしいし、悔しい気持ちはある」って言っていました。遠慮なく伝えてくれることに感謝したいし、だったら絶対に自分が優勝して、悔しがらせてやろうって思いましたね(笑い)。

 良い意味でも悪い意味でも、今季はいろいろな経験をさせてもらいました。自宅から出られない時期は筋トレに没頭し、毎日のように腕立てや腹筋、背筋をしていました。自分でも体つきが変わったことを実感でき、プレーも良いところが伸びたと思います。一方でプロの難しさも痛感させられたシーズンでもありました。昨季のように勢いだけで突っ走っているのでは壁にぶつかる。一筋縄ではいかないことも多く、立ち直り方などを学ばせてもらいました。

 シーズンのラストゲームで勝ち、タイトルを獲れたことは自分にとっても、チームにとっても糧になる。まずはしっかり休み、来季こそはリーグ制覇へと突き進みたいです。(FC東京DF・渡辺 剛)

 ≪激突…負傷していた≫DF渡辺は序盤にオルンガと激突して右肩付近を痛めたものの、痛みを押して奮闘。森重、ジョアン・オマリら守備陣で連係を取り、怪物ストライカーを抑え込んだ。試合後は右腕を三角巾でつるほど手負いの状態だったが、「報われた」と笑顔を見せた。

 ◆渡辺 剛(わたなべ・つよし)1997年(平9)2月5日生まれ、埼玉県出身の23歳。FC東京U―15深川、山梨学院大付高(現山梨学院高)、中大を経て19年に加入。同年4月28日の松本戦でトップチームデビューし、8月24日の札幌戦でプロ初得点。2年目の今季はリーグ28試合2得点、主将のMF東の負傷離脱期間にキャプテンマークを巻いた。日本代表には19年12月に初選出され、同14日のE―1選手権・香港戦で初出場。1メートル86、78キロ。

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2021年1月5日のニュース