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ハリルの年賀状7つの指令 新キーワードは「プレーコントロール」

[ 2017年1月1日 08:30 ]

凧(たこ)を手に笑顔のハリルホジッチ監督
Photo By スポニチ

 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(64)が17年の誓いを立てた。15年3月の就任後に指揮した国際Aマッチ20試合のプレー内容をデータ化して「走行距離」「スプリント数」「デュエル勝率」などの項目ごとの数値目標を設定。ポゼッションにはこだわらない方針を強調し、新たに「プレーコントロール」をキーワードに掲げた。

 ハリルホジッチ監督は15年3月の就任から国際Aマッチ23試合を指揮。欧州組を招集できなかった15年8月の東アジア杯の3試合を除く20試合のプレー内容をデータ化。新年の誓いとして、W杯アジア最終予選の後半5試合などを控える17年の目標を掲げた。

 (1)出場選手の総走行距離(115キロ→120キロ)「1試合平均115キロ走っている。悪くはないですけど、120キロ走りたい。ただ、増やせばいいだけの問題ではなくて、移動のクオリティーも必要になる。リズムの変化やスピードアップをやらないといけない」

 (2)スプリント数(181回→230〜250回)「スプリント数は1試合平均181回だが、230〜250回はいきたい。統計では時速24キロ以上がスプリントだが、私のスプリントは時速32〜34キロあたりを指す。ウサイン・ボルトは瞬間最高時速40〜43キロ出ている。もちろん試合の状況で変わるが、スプリントの数を増やしたい」

 (3)枠内シュート率(42%→50%以上)「1試合平均22本のシュートを打っている。これは大きな数。トライしているということだが、問題は枠内シュートが42%ということ。これを50%以上にしたい。将来の話になるが、もっと強いチームと戦えば、絶対に22本も打てない。だから、より正確に、より得点効率を高めないといけない」

 (4)クロス成功率(22%→30〜35%)「センタリングは1試合平均23・5回上げている。ただ、成功は22%。30〜35%合わせられる状況にしたい。まずはクオリティー。そして16メートルで合わせる準備。いいクロスでも中に誰もいなければ意味がない。ニア、セカンド、こぼれ。ゴール前に顔を出すところを伸ばさないといけない」

 (5)パス失敗数(67回→50回)「パスは1試合平均560回成功している。歴代でも上の方じゃないかと思う。ただ、1試合平均で67回ほど失っている。ハイレベルになりたければ、50回まで下げてほしい。特に相手陣内のパス成功率を上げたい。それから良くないのがスローイン。ある試合では15回のうち13回失った。つまり13回も組み立てのチャンスを失っている。スローインは簡単と思っているかもしれないが、そんなに簡単じゃない。トレーニングしないといけない」

 (6)デュエル勝率(50%→60%)「デュエルという言葉を最初に発したとき、皆さんは“デュエルって何?”と聞きました。この戦う意識が欧州と日本の違い。Rマドリードとバルセロナの試合ではボールを1秒キープするのも難しい。でも日本では長く保持できる。シャンパンも飲めるし、酒も飲めます。大げさに言えば、食べている時間もある。もちろんこれは冗談だが、そんなイメージ。今のところデュエルで50%は勝っているが、60%は勝ちたい。これはメンタルの問題でもあるので、今はウオーミングアップでもデュエルを入れている。ファウルなしで奪うことも徹底しないといけない」

 (7)空中戦勝率(41%→50%)「空中戦は41%しか勝てていない。まず50%は超えたい。ただ、(16年10月11日の)オーストラリア戦を思い出してください。10回のうち1回しか我々は先に触っていないが、マークに付きフリーではやらせなかった。相手が100%でヘディングできていない。オーストラリアのリストには1メートル95の選手が9人いましたが、日本(で高さがあるの)は(吉田)麻也くらい。でも防ぎました。もう少し身長の高い選手がいればうれしいですが」

 (1)〜(7)の数値目標を掲げたハリルホジッチ監督だが、過去に日本が重視していたポゼッション率は重視しない方針を強調。ボールを保持しなくても試合は支配できるという持論を展開した。

 「ポゼッション率が高ければ試合に勝つと言う人もいるが、私にとっては完全にウソ。それは現代フットボールの統計で出ている。(昨夏の)欧州選手権ではポゼッション率50%以上で勝ったチームは3分の1というデータがある。日本代表も50%以下のポゼッションの時に良い試合になっている。(16年6月3日の)ブルガリア戦しかり、(15年3月31日の)ウズベキスタン戦しかり。(16年10月11日の)オーストラリア戦ではわざと相手のポゼッション率を高めさせた。これが勝つための戦術。ポゼッション率が低くて批判を受けたので、フットボールの理解が違うのだなと思った。ポゼッションに代わり、はやらせたい言葉が“プレーコントロール”。遅攻を使うのか、速攻を使うのか。わざと相手に来させて奪った瞬間に穴を突くやり方もある。とにかくクリアしまくる時間もあれば、足をつった演技が必要なこともある。相手のリズムを崩して、こっちがコントロールするということ」

 度重なる解任危機を乗り越え、W杯アジア最終予選は5試合を残して3勝1分け1敗のB組2位。6大会連続のW杯出場はもちろん、18年6月14日に開幕するW杯ロシア大会を見据えて、高い志を持って新シーズンを迎える。

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