×

名古屋 名門24年目初の屈辱降格 久米社長陳謝「末代までの恥」

[ 2016年11月4日 05:30 ]

明治安田生命J1第2S第17節 ( 2016年11月3日    パロ瑞穂 )

<名古屋・湘南>湘南に敗れJ2降格となり、ひとりベンチでピッチ見つめる闘莉王

 ロスタイム4分を超えた瞬間、無情な笛が響き渡った。静まりかえるスタジアム。名古屋DF闘莉王は表情を変えずにピッチ内をさまよった。93年のJリーグ創設から24年目。一度も降格のない名門が、ついに陥落の時を迎えた。

 「サッカー人生の良い出来事を、きょうの残留と代えても良かった。誰のせいでもなく自分の責任としか思っていない。力不足…それが今の素直な気持ち」。8月末に電撃復帰した闘将は涙を見せずに気丈に話したが、望みはかなわなかった。

 一度もリードを奪えず一瞬ですら残留の夢を見ることのできない完敗だった。前半6分に先制点を与えると、37分にも失点。1点差に迫った後半15分には闘莉王のトラップミスから決定的な3点目を失った。結果としてドローなら残留できたが、もう同点に追いつく気力は残っていなかった。

 「フロント力のないチームは落ちる」。久米社長は苦汁をなめ続けた1年間を振り返った。今季は「大きな変革とチャレンジ」を掲げた。指導経験がないにもかかわらず、地元では人気の高い小倉隆史氏に白羽の矢を立て、編成面から一貫してチームづくりができるようGMとの兼任監督に据えた。だが、大黒柱だった闘莉王の退団を招き、十分な補強もできなかった。守備が崩壊したチームは下降線の一途をたどった。7月にはサポーターが監督解任を迫ったが、親会社のトヨタ自動車側の意向と強化の現場とで意見がまとまらないまま、問題は8月下旬まで先延ばし。ジュロヴスキー監督にたすきを渡したときには残り8試合。結局は闘莉王を呼び戻すしか打つ手はなかった。

 闘莉王は「皆で手をつないで同じ方向に行かないといけないのに、前に進むのを後ろに引っ張っていた」と改めて一体感の欠如を口にした。久米社長は「J2に落ちたことのないチームを降格させたことは末代までの恥」と試合後、サポーターに謝罪した。来季はJ2という現実。まずはフロントの足並みをそろえないと1年での“リボーン”など到底できない。

 ▽名古屋グランパス トヨタ自動車を母体として92年の発足時にJリーグに加盟したオリジナル10。ベンゲル監督が就任した95年から強豪の仲間入りを果たし、現役時代に活躍したストイコビッチ監督のもとで10年にリーグ初優勝を果たした。天皇杯も2度制している。ホームタウンは名古屋市を中心とする愛知全県。クラブカラーは赤。ホームスタジアムは豊田スタジアム、パロマ瑞穂スタジアム。

続きを表示

この記事のフォト

2016年11月4日のニュース