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茶島雄介「戻ってきてほしい」に迷いなし 広島ユース初のUターン選手に

[ 2016年5月30日 12:45 ]

富士ゼロックス・スーパー杯G大阪戦で先発した広島MF茶島

 広島ユース史上初のUターン選手が、今季から定位置争いに割って入ってきた。2シャドーの一角で、プロ3年目のMF茶島雄介(24)が初めて開幕スタメンの座をつかんだ。一昨年は1試合、昨年は3試合の出場に止まりながら、Jリーグ王者として臨んだ昨年12月のクラブW杯でチャンスをつかんだことが飛躍のきっかけとなった。

 足もとの高い技術と走力を併せ持つ24歳が、広島の育成組織出身者では史上初めてとなる、大学経由でトップチームに入団した選手。広島に生まれ、広島ジュニア、同ジュニアユース、同ユースとひと筋で育ってきた。だが、主将をつとめた高校3年生の途中に、トップに昇格できないことを告げられる。

 同期で昇格したのは、世代別代表の常連だった大崎淳矢(現徳島)だけ。「ずっとサンフレで、昇格が目標だったから悔しい気持ちはあったけど、どこかで“そりゃそうだろ”という思いもあった」。まだプロとしての実力がないことを、心のどこかで悟っていた。

 気持ちの整理がついたとはいえ、前途は多難だった。第1志望の慶応大にはAO入試で失敗。新たに進学先を探していたとき、ユースの指導者らに薦められたのが、当時、関東大学2部リーグで戦っていた東京学芸大だった。「2部だけど“自分次第だろう”と」。結果的に1年時から定位置をつかんだことが、茶島の成長につながった。

 一時は「前例がなかったから、広島でプロになるのは無理かなとあきらめていた」という。だが、卒業後を考え始めていた頃に「戻ってきてほしい」とオファーは届く。迷いはなかった。ユニバー日本代表でともに戦った中央大の皆川佑介らと入団。その皆川にプロデビューでは先を越されながらも、地道に努力を重ねてきた。現在はU―23日本代表FW浅野や、29日の福岡戦で2得点を挙げたFW宮吉らと激しくポジションを争う。

 過去4年間で3度のリーグ制覇を誇る広島。近年では、練習の質を落とさないという意図もあり、ユースからトップに昇格するハードルは高くなっている。その中で大学経由で台頭してきた茶島は、クラブにとって新たな育成モデルとなった。(記者コラム・西海 康平)

 ◆茶島雄介(ちゃじま・ゆうすけ) 1991年(平3)7月20日、広島市出身の24歳。広島ジュニア、同ジュニアユース、同ユースに所属。トップチームに昇格できず10年に東京学芸大に進学。14年に広島に加入した。今季は11試合を終えた時点で10試合出場2得点。1メートル66、60キロ。血液型はO型。利き足は右。

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2016年5月30日のニュース