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マンU CL絶望&試合中止で“爆発的損害額”

[ 2016年5月17日 09:50 ]

警察官が取り囲む“非常事態”となったマンチェスターUの本拠地オールドトラフォード(AP)

 マンチェスター・ユナイテッドが思わぬ形で“終戦”を迎えた。15日のリーグ最終節で、ホームで行われる予定だったボーンマス戦がスタンドで不審物が見つかったため中止となった。英紙デーリー・テレグラフによると92~93年から始まったプレミアリーグで警備上の理由で試合が延期されるのは初めて。17日に行われる代替開催でマンチェスターUが勝ったとしても、4位のマンチェスター・シティーを逆転することは得失点差の関係でほぼ不可能となり、来季の欧州CL出場権獲得は絶望的となった。

【プレミアリーグ順位表】

 マンチェスターUの本拠地オールドトラフォードでの今季最終戦を中止に追い込んだのは“忘れ物”だった。試合開始直前にスタンドのトイレで不審物が発見され、通報を受けた警察の爆発物処理班が出動。「爆発装置のような物」と判断され、警察の助言を受けて開催中止が決定した。

 捜査の結果、不審物は爆発物の模造品と判明。試合前に民間会社による爆発物探知犬の訓練で使われたものが置き忘れられていた。警察は「今回のような不審物発見は実際に危険を伴う事件に発展する可能性がある。判断は正しかった」と説明。マンチェスターUのウッドワード副会長も「ファンの安全こそ最優先されるべき」とコメントしたが、英BBC放送(電子版)によるとチケットの払い戻しなどでクラブが被る損失は300万ポンド(約4億7000万円)。結果的には“高価な避難訓練”となった。

 リーグ最多の優勝20回を誇る名門も、13年の名将ファーガソン氏の退任後は無冠に低迷。今季の成績不振が、さらなる大損失につながる危険性がある。最終節を前にリーグ5位。来季欧州CL出場権を獲得できる4位のマンチェスターCと勝ち点2差で逆転に望みを残していたが、15日にシティーがスウォンジーと1―1で引き分けたため勝ち点差は3に広がった。17日の代替試合に勝利すれば勝ち点で並ぶが、順位決定の次の条件となる得失点差は18も少ない。1試合で19点差をつけることは現実的ではないため、欧州CL出場はほぼ絶望となった。

 ばく大な放映権が分配されるほか、スポンサー収入にも影響を及ぼす欧州CLに出場できない場合について、15日付の英紙デーリー・スターは「マンチェスターUは5000万ポンド(約78億円)を失う」と報じた。また、前チェルシーのモウリーニョ氏の就任が噂されるなど、次期監督問題も不透明。最近はファンハール監督が続投するとの英紙報道が増えてきたが、欧州CL出場を逃した上に、21日のFA杯決勝でクリスタルパレスに敗れれば責任論に発展しかねない。大騒動を招いた今回の爆弾騒ぎのように、凋落(ちょうらく)の名門は火種を抱えたままオフを迎えることになりそうだ。

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2016年5月17日のニュース