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治安、高額、日程…W杯観戦ツアー苦戦「弾丸ツアー」でも40万円

[ 2010年4月17日 09:44 ]

サッカーワールドカップを前に、南アフリカとの親善試合で声援を送る日本のサポーター

 サッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会開幕まで2カ月を切った。南アは日本から遠く、治安の懸念もある。観戦ツアーは高額で、販売する旅行代理店各社も苦戦気味。インターネットでチケットだけ買ったものの、自前でホテルや移動手段を確保できない人のため、総費用からチケット料金だけ割り引くなど、変則的なサービスを始める代理店も現れた。

 今大会、1次リーグで3試合ある日本代表の試合の観戦ツアーは、国際サッカー連盟(FIFA)の代理店「MATCHサービス」が指定した日本の旅行代理店4社(日本旅行、JTB、近畿日本ツーリスト、西鉄旅行)が販売している。
 MATCH社はチケットに加え、現地の宿泊施設とバスなどの移動手段を確保し、世界中の指定旅行代理店にあっせんしている。日本の4社は「前回大会までのようにチケットが届かないといったトラブルはなく、安全にも細心の注意を払っている」と強調する。
 だが費用は1試合観戦で40万~50万円台と高額の上、日程が5~8日と長いため、まとまった休みの取りづらい会社員らには手が届きにくい。
 JTBは日程を短縮するため、現地の空港から専用バスで試合会場に直行する4日間の「弾丸ツアー」(約40万円)を企画。ほかの代理店も、滞在中に日本以外の試合も組み込むなど工夫し、ファンの希望に応じようとしているが、担当者からは「思ったより売れ行きは伸び悩んでいる」との声が漏れる。
 チケットは、FIFAの公式ホームページからも買える。治安の不安などから各代理店には「チケットは買ったが、宿泊や移動手段はどうすればいいか」と問い合わせが相次いでいる。
 西鉄旅行などは、チケットを購入済みのツアー参加者に、総費用からチケット料金を割り引くサービスを開始。日本旅行はチケットと南ア往復航空券を持っている人に、宿泊施設と移動手段だけを提供するという。
 ヨハネスブルクで行われる準々決勝のチケットを買った埼玉県三芳町の会社役員阿部洋さん(47)は、前回ドイツ大会は「宿と足」を自ら予約し40万円弱で済ませたが、今回は旅行代理店に依頼した。費用は60万円ほどの見通しだ。
 「費用がかさむので、前回一緒に行った仲間のうち『今回も行く』という人はいなかった」と話している。

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2010年4月17日のニュース