【フェアリーS】咲いたライラック重賞初V!ミルコ絶賛「クラシックに行ける馬」

[ 2022年1月11日 05:30 ]

フェアリーSを制したライラック(手前)=撮影・郡司 修
Photo By スポニチ

 今年最初の3歳牝馬重賞「第38回フェアリーS」が10日、中山競馬場で行われ、M・デムーロ騎乗の5番人気ライラックが大外一気の追い込みを決めて重賞初制覇を飾った。相沢郁調教師は19年札幌2歳S(ブラックホール)に続くJRA重賞19勝目。オルフェーヴル産駒は通算23度目のJRA重賞勝ちとなった。

 名は体を表すという。厩舎関係者の笑顔の花に囲まれた1着馬の脱鞍所。小さな花びらから強い香気を放つ落葉樹ライラックから名付けられた420キロの鹿毛馬にM・デムーロが抱きついた。「大好き!」。鞍や腹帯を外してから再びその愛らしい顔に熱い抱擁。「体は小さいけど心が強い。直線は物凄い脚。クラシックに行ける馬です!」。テレビマイクを向けられると、顔を紅潮させた。

 出遅れながら後方から大外一気。内から抜け出した1番人気スターズオンアースを首差ねじ伏せた。19年札幌2歳Sで大外強襲を決めた半兄ブラックホールと二重写しになる末脚だ。「気難しくて、急にテンションが上がる。ゲート入り後にイライラして出遅れたけど、3角でも凄い手応え。負けるわけがないと思いながら直線まで追い出しを我慢した」と続けた。

 「出遅れて最後方に置かれた時には駄目かと思った。前走は悪夢を見たからね」と振り返るのが相沢師。前走・京都2歳S(8着)時は馬運車に乗るのを嫌がって美浦の厩舎前で30分以上も立ち往生。発走前にはゲート入りをごねて、誘導員が振るう長ムチとロープに尻っぱね。発走前に戦意を喪失していた。ゲート練習を繰り返した昨年末の美浦。開催日でもないのに1台の馬運車が相沢厩舎に横付けした。乗車練習の成果はすぐに表れる。「今回はスムーズに馬運車に乗れたし、ゲート入りも問題なかった。自分で納得すればちゃんとできるんです」。

 栴檀(せんだん)は双葉より芳しというが、花芽の頃から香気を放つのがライラックの名木。「重賞級です」。デビュー前の調教に騎乗した津村や石川は口をそろえて師に報告した。「今日の競馬が本当の走り。父オルフェーヴルの激しい気性が出ているが、こんな競馬をするなんて普通の馬じゃない。カイバがまだ身になっていないだけに、これからもっと成長する」と絶賛する同師。クラシックには未登録だが、自らの脚で200万円の追加登録料を稼ぎ出した。その非凡な素質が開花するのは落葉樹ライラックのつぼみがほころぶ4月…。

 ◇ライラック 父オルフェーヴル 母ヴィーヴァブーケ(母の父キングカメハメハ)19年4月28日生まれ 牝3歳 美浦・相沢厩舎所属 馬主・芹澤精一氏 生産者・北海道浦河町の杵臼牧場 戦績3戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金4457万4000円 馬名の由来は北海道の代表的な花の名。

 【フェアリーSアラカルト】

 ☆騎手&調教師 M・デムーロは3回目の騎乗で初勝利。JRA重賞は昨年のターコイズS(ミスニューヨーク)以来で通算103勝目。07年から16年連続JRA重賞勝利となった。相沢師は7頭目の出走で初勝利。JRA重賞は19年札幌2歳S(ブラックホール)以来で通算19勝目。

 ☆種牡馬 オルフェーヴル産駒は初勝利。JRA重賞は昨年のチャレンジC(ソーヴァリアント)以来で通算23勝目。17年から6年連続となった。

続きを表示

2022年1月11日のニュース