【有馬記念】横山武 大一番へ胸中激白、エフフォーリアと“最強の絆”ファン投票歴代最多26万票に応える

[ 2021年12月20日 05:30 ]

エフフォーリアとのコンビで有馬記念に挑む横山武
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 グランプリウイークが幕を開けた。2021年の総決算「第66回有馬記念」(26日、中山)が、いよいよ今週末と迫った。最大の注目は歴代最多の26万742票を集めてファン投票1位に輝いたエフフォーリア(牡3=鹿戸)。鞍上はデビューからコンビを組み、19日に自身初のJRA年間100勝を決めた横山武史(22)。「別次元の馬」と評する相棒とのグランプリ制覇に懸ける胸の内を激白した。

 歓喜の皐月賞、失意のダービー、そして感涙の天皇賞。エフフォーリアと横山武が共に駆け抜けてきた人馬のドラマに史上最多、26万を超えるファンが一票を投じた。07年ウオッカ以来14年ぶりとなる3歳馬のファン投票首位。横山武は胸を高鳴らせる。

 「2位や3位よりやっぱり1位がうれしい。ファンの皆さんがこの馬を好きでいてくれている証だと思いますし大きな期待を感じます。プレッシャーはありますが、一ジョッキーとして人気する馬に乗りたい思いが強い。大レースでそういう機会はなかなかないと思うので」

 前走の天皇賞ではコントレイル、グランアレグリアを真っ向勝負で撃破。ウイニングランでは人生初のうれし涙を流した。

 「父(典弘)と同じで機嫌がいいと、はっちゃける性格なので、あの時まではうれし涙の感覚が分かっていなくて…。うれしいならテンションが上がるはずなのに、なぜか涙がこぼれました。やっぱりダービーの借りがあったから。ダービーがこの上なく悔しかったからだと思います」

 “思い出したくない悪夢”と表現する今年のダービー。無敗の快進撃を続けていたエフフォーリアは圧倒的1番人気に推されたが、ゴール前でシャフリヤールの強襲に遭い、わずか10センチの差で栄冠を逃した。レース後、ぼうぜん自失の横山武の肩をダービージョッキーの父が、川田が、ルメールが抱いた。

 「僕はずっと放心状態でした。(川田)将雅(ゆうが)さんは“よくやった”と、クリストフ(ルメール)は“完璧に乗っていた”と言ってくださった。皆さんダービーの重みを知っていますから」

 苦い経験と先輩の激励を糧に、夏の北海道リーディングを獲得し、菊花賞(タイトルホルダー)も勝った。5年目は大きく飛躍した一年。それでも「完全に前を向けているかというと何とも言えません。正直、今でもチラッとあの悪夢を思い出すことがある」という。

 だが、天皇賞のエフフォーリアの馬上にいた横山武はそんな不安をみじんも感じさせなかった。ダービーと同じ東京の直線。臆せずライバルに先んじて仕掛けた。「すぐ後ろにコントレイルがいるのは感じ取っていました。でも、相手は関係ない。僕が乗っているのはエフフォーリアですから」。愛馬への信頼が積極的かつ完璧な騎乗を可能にする。

 最強の2頭との3強対決を制し、敗戦の記憶を振り払ってみせた人馬。今度の敵は…。

 「馬自身の能力に疑う余地はありません。別次元の馬ですから。不安があるとすれば中山2500メートルの舞台。あのアーモンドアイでもあれだけ負ける(9着)ことがあるトリッキーなコースです。ただ、僕がすることは天皇賞と同じ。馬を信じて騎乗し、本来の力さえ発揮できれば勝ち負けになると思っています」

 今年のメンバーでデビューから一度も乗り替わりがないのはエフフォーリアのみ。22日が誕生日。23歳最初のG1が有馬記念。人馬の絶妙な呼吸が試されるグランプリコースが相手でも、唯一無二の絆があれば、絶対大丈夫――。

 ◇横山 武史(よこやま・たけし)1998年(平10)12月22日生まれ、茨城県出身の22歳。幼少期より騎手を目指し17年3月に美浦・鈴木伸厩舎所属でデビュー。同年4月16日の福島9RヒルノサルバドールでJRA初勝利。今年の皐月賞(エフフォーリア)でG1初勝利。JRA通算3251戦296勝。目標の騎手は父・横山典弘。1メートル61、45キロ。血液型O。

 【飛躍の5年目 泣いた笑った2021年】
 ▼2・14 共同通信杯をエフフォーリアでV。自身重賞2勝目。
 ▼4・18 皐月賞をエフフォーリアで勝ち、初のクラシック制覇。
 ▼5・30 1番人気で臨んだダービーだがエフフォーリアで鼻差2着。涙を流す。
 ▼10・24 菊花賞をタイトルホルダーでV。逃げ切りは98年セイウンスカイ以来。その鞍上は父・典弘だった。
 ▼10・31 天皇賞・秋をエフフォーリアで勝って横山武は今年G1・3勝目。
 ▼12・2 ロンジンワールドベストジョッキーで10位にランクイン。ついに世界に認められた。

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2021年12月20日のニュース