【有馬記念】北村友 騎乗かなわなかったクロノジェネシス…有終V信じ見守る「共に成長してきた」

[ 2021年12月20日 05:30 ]

デビューから今春のドバイ遠征までの14戦でクロノジェネシスの手綱を取った北村友
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 有馬記念でラストランを迎える名馬クロノジェネシス。史上初のドリームレース4連覇に挑む名牝の関係者に迫る特別連載「Genesis Pride~クロノジェネシス最後の挑戦」がスタート。第1回はデビューから今春のドバイ遠征までの14戦で手綱を取った“主戦ジョッキー”北村友一(35)。落馬負傷によりラストランに騎乗できないが、最愛のパートナーへ熱いエールを送る。

 キャリア16戦中14戦で手綱を取った。クロノジェネシスの主戦は間違いなく北村友一だ。今年5月2日の阪神で落馬、椎体骨折および右肩甲骨骨折。2走前から乗り替わりとなりラストランにも騎乗することはかなわなかったが、パートナーへ熱く思いを寄せる。

 「共に成長してきたいいパートナー。自分で感じている以上に多くの人に北村友=クロノジェネシス、クロノジェネシス=北村友と思ってもらえていました。もちろん応援しますし、いい結果が出ればと思っています」

 デビューは18年9月の小倉。4番手から危なげなく抜け出し2馬身差の快勝だった。「本当に走るという感覚を得ました。器の大きさ、能力を感じました。先生(調教師)には“どこでも乗りに行きますので乗せてください”と話をしました」。その言葉通り、パートナーの手綱を離すことなく、今春はドバイ(シーマクラシック2着)でもコンビを組んだ。

 鞍上がベストレースに挙げるのがG1初制覇へと導いた19年秋華賞。「人馬ともに凄く成長できました。勝ちを意識してきっちりと勝てたレースです」。人馬一体となり、着実にステップアップしていった。昨年の有馬記念はファン投票1位に応えてV。「向正面で自分から脚を使い、3、4角でギアを上げるレース。馬を信じる騎乗ができました」

 今年のドバイ遠征がパートナーに騎乗した最後のレースに。落馬負傷により、宝塚記念は初めて手綱を他のジョッキーに渡すことになった。それまでのグランプリ2勝は中団から早めに動いて押し切る形だったが、新コンビのルメールは好位から抜け出す戦法でV。「新たなクロノジェネシスを見た思いでした。彼が選択したレース(ぶり)は僕にはできないレース。勉強になりました」と冷静に見守った。

 デビューから騎乗した14戦は、北村友にとって、かけがえのない時間だった。「コンビを組んだ馬で、ここまで成長力を感じた馬は初めて。馬を信じることも学びました」。ラストラン当日は中山競馬場で行われる引退式に参加する。「感謝の気持ちを言葉にしたい。もちろん、産駒にも乗りたいです」。ベストパートナーの最後の走りを現地で見届ける。

 《復帰「5、6月」》5月2日の阪神2Rで落馬し、休養中の北村友は復帰を目指してリハビリを続けている。「背骨がくっついていない箇所が1カ所あり、ボルトが入った状態」と説明。復帰の時期については「(来年の)5月か、6月くらいになりそうです」と見通しを語った。

 ◇北村 友一(きたむら・ゆういち)1986年(昭61)10月3日生まれ、滋賀県出身の35歳。06年3月4日ソリッドスウィートで初騎乗、同3月19日ゴッドヘイローで初勝利。19年大阪杯(アルアイン)でJRA・G1初制覇。JRA通算9478戦806勝(重賞27勝、うちG1・5勝)。1メートル64.5、51キロ。血液型A。

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