【香港カップ】ラヴズオンリーユー有終Vへ 矢作師が明かす思い「よくぞ、ここまで立ち直ってくれた」

[ 2021年12月7日 05:30 ]

ラヴズオンリーユーで香港カップに挑む矢作師
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 誇れるタイトルを積み重ね、再び香港へ。先月6日に米国でブリーダーズカップフィリー&メアターフを制し、BC日本馬初勝利で歴史に名を刻んだラヴズオンリーユーが12日の「香港カップ」でラストランを迎える。管理する矢作芳人師(60)がスポニチのインタビューに応じ、意気込みを語った。本調子を欠いた昨年は5戦して未勝利。苦しい時期を乗り越え、19年オークス馬が完全復活を果たした。今年4月にクイーンエリザベス2世カップを制した思い出の地・シャティンで有終Vを目指す。

 ――ラヴズオンリーユーで日本馬初のBC制覇。改めてBCフィリー&メアターフを振り返って。
 「決して我々が思い描いているようなレース展開ではなかった。結果を見ると、あのメンバーでは力が一枚上だったと感じている」

 ――米国から香港転戦に至る調整過程は?
 「前走後はそのままデルマー(競馬場)に残って調整していた。(前走時は)マルシュロレーヌ(BCディスタフ勝ち)といいコンビだったけど、マルシュは帰国したので2、3日は寂しくしていた。その間はレースの疲れや寂しさでカイ食いが落ちたけど、どんどん回復に向かっていった。付けていたポニーがずっと一緒にいてくれたので調整はしやすかった」

 ――そのあたりは今年の春の経験(ドバイシーマクラシック3着から香港に転戦してクイーンエリザベス2世カップ1着)が大きかった?
 「もちろん大きかった。BC挑戦もドバイから香港に向けて、あの調整ができたからこそ。今回はポニーがビッシリ付いてくれているのが良かった」

 ――もうひとつ大きなトピックスがあった。
 「担当の吉田一成助手の兄・吉田稔君(元名古屋競馬の騎手)がレース後に(デルマーに)駆けつけてくれて、ずっと調教してくれた。彼は名手だから本当に心強かったよね」

 ――今週の香港カップがラストラン。今の心境は?
 「牝馬は一度、調子を崩すと立て直すのは難しいケースが多い。よくぞ、ここまで立ち直ってくれた。去年の今頃を思えば、この馬が国際G1を2つ勝つことは想像もできなかった。その成長力というか(状態が)戻ってくれたのが本当に良かった」

 ――舞台は違うが矢作厩舎の5歳牝馬、ラストランといえばリスグラシュー(19年有馬記念で有終V)が思い出される。
 「そうだよね。ラストランでもあるから当然、香港に行く予定だったがオミクロン株の影響で行けなくなってしまった。それが残念でラヴズに申し訳ない気持ち」

 ――今年も全国リーディング首位、獲得賞金トップを目標に掲げている。
 「もちろん、それは毎年の目標。香港国際競走を含め、とにかく最後まで全力を尽くす。ファンの皆さまに応援していただけたら、と思っています」

 ◇矢作 芳人(やはぎ・よしと)1961年(昭36)3月20日生まれ、東京都出身の60歳。開成高卒。ホースマンを志してオーストラリアで修業。05年にJRA調教師として厩舎を開業。12年にディープブリランテでダービー制覇、20年にコントレイルで無敗3冠制覇。JRA通算7500戦729勝、重賞53勝(JRA・G1・14勝)。競輪に造詣が深く、馬主でもある元競輪選手・山田裕仁氏をはじめ、多数の選手と交流がある。特別競輪の際は本紙競輪面に「矢作芳人のディープな予想」を掲載。

 《ステイフーリッシュ、初海外でも順調》ラヴズオンリーユーの僚馬ステイフーリッシュ(牡6)は初の海外遠征。先月30日の国内最終追いは坂井(レースはホー)を背に坂路単走でいっぱいに追われ、4F50秒7(1F13秒0)と負荷をかけた。1日に香港へ。矢作師は「男馬でもカイバをバリバリ食べるタイプではないから心配したけど他の日本馬もいるし、思いのほか落ち着いて順調に調整できている」とうなずく。初コースについて「合いそうなイメージ。意外性のある血統(父ステイゴールドはラストランの01年香港ヴァーズV)だし、大仕事をしてくれないかと思っている」と父子2代制覇を期待している。

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