【ラジオNIKKEI賞】“晴雨兼用型”インペリウム一刀両断!猛調教でパワーアップ

[ 2020年7月3日 05:30 ]

コスモインペリウムを管理する和田雄師(撮影・郡司 修)
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 梅雨の重賞は大穴厩舎が送り出す晴雨兼用型の一撃だ。「第69回ラジオNIKKEI賞」(5日、福島)で大駆けムードを漂わせるのがコスモインペリウム。大穴を量産する和田雄二調教師(50)が郷里・鹿児島の一撃必殺剣「示現(じげん)流」を想起させる反復の猛稽古で鍛え抜いてきた。福島開幕週に波乱を起こすのは、良馬場の切れ味勝負にも道悪のパワー勝負にも強い伏兵だ。

 腰を深く落とし、両腕を高く上げた「トンボの構え」から渾身(こんしん)の力で刀を振り下ろす。「示現流」と呼ばれる薩摩の必殺剣。「キィエーイ!」、「チェスト!」の奇声を発しながら全体重と気迫を乗せた初太刀には幕末の新選組も震え上がったという。その必殺の太刀を生み出すのは立ち木に向かって朝夕数千回も木刀を打ち込む猛稽古。「馬の稽古にも通じる反復練習です。馬も繰り返し乗り込むことで鍛えられる。コスモインペリウムもそうです」。鹿児島出身の和田雄師は調教スタンドから500キロ超の大型馬に目を光らせながら口火を切った。

 今春、鍛えてきた管理馬が2頭も単勝万馬券で激走。同郷の師匠、吉永正人調教師(故人)から伝授された薩摩仕込みの猛調教術で“大穴厩舎”を率いる気鋭トレーナーが同馬に課したのも示現流のような反復調教だ。「坂路とWコース、さらに森林馬道を組み合わせながら乗り込みを続けています。毎日、稽古をつけている調教助手が(体重)60キロ超と重いので一層鍛えられる。ひたすら強、強、強の猛稽古だった吉永先生に比べて、弟子は強弱を付けていますが、それでも負荷がかかっています」

 コスモインペリウムは良馬場の前々走で33秒3の上がりを使ったように切れ味が武器。その一方、前走は不良馬場をものともせずに突き抜けている。道悪の耐久力は重たい助手を乗せた反復練習が生んだのだろう。ともあれ、不順な天候が続く梅雨期には何より頼りになる晴雨兼用型の穴馬だ。「駐立が悪いのでゲート練習もしてきました。オーナー(岡田繁幸氏)の期待も大きいトランセンド産駒なので何とかしたい」と厩舎開業8年目の重賞初制覇に手応えを膨らませる。

 その厩舎服の背中には薩摩島津家の家紋で知られる十字紋に似た「丸十字」のロゴマーク。郷里への思いを背に挑む念願のタイトルだ。示現流は「ぼっけもん」と呼ばれる勇猛な薩摩隼人(はやと)の気質が生んだ門外不出の必殺剣。吉永正人師秘伝の薩摩流猛調教で混戦重賞を一刀両断あるのみ。「キィエーイ!」、「チェスト!」

 【復帰武藤「成長感じる」】コスモインペリウムは2日間の騎乗停止を終えて今週から復帰する主戦・武藤が手綱を取る。「道悪にも対応できるし、今の(梅雨期の)福島はちょうどいい舞台です。前々走は(グレイトオーサーの2着に)負けたとはいえポジションの差。出遅れなければもっと際どい競馬になった」と振り返る。「最初はダート馬かと思ったが、芝の瞬発力勝負にも対応してくれました。成長を感じます。ゲートがうるさいのとテンに少し掛かる面があるので気をつけて乗りたい」とデビュー4年目の重賞初Vに好感触を得ていた。

 【和田雄厩舎、今年2度単勝万馬券】和田雄厩舎には単勝万馬券の大波乱を起こす穴馬が多い。春の東京最初の新馬戦ではウインアグライアが堀厩舎の1番人気ブエナベントゥーラを首差抑えて初陣を飾った。オープンのコスモス賞(8月15日、札幌)に向かうことになっている。ラジオNIKKEI賞でも堀厩舎の人気2頭(グレイトオーサー、サクラトゥジュール)を破って再び金星を挙げるか。

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2020年7月3日のニュース