【有馬記念】リス有終V!牝馬初春秋GP制覇 レーン別れ惜しむ「世界一狙えたかも」

[ 2019年12月23日 05:30 ]

<有馬記念>有馬記念を制したD・レーン騎乗のリスグラシュー(手前)(撮影・西川祐介)
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 圧巻リスグラシュー、有終V!!G1馬11頭が集結した豪華グランプリ「第64回有馬記念」が22日、中山競馬場で行われた。2番人気リスグラシュー(ファン投票2位)が豪快に突き抜け、5馬身差圧勝。G1・3連勝、牝馬初のグランプリ春秋制覇でラストランを飾り、総獲得賞金(海外含む)は12億円を超えた。騎乗したダミアン・レーン(25=豪州)、管理する矢作芳人師(58)はともに有馬記念初挑戦で初制覇。一方、単勝1・5倍の断然人気に推されたアーモンドアイはまさかの9着大敗。最初で最後の“女王対決”は明暗が分かれた。 レース結果

 歓声と悲鳴が交錯した最後の直線。先に動いたアーモンドアイがなぜか伸びない。逆に一瞬で外に出したリスグラシューだけ火が付いた。中山名物の急坂を瞬間移動で駆け上がり、最後は独り舞台。2着サートゥルナーリアに5馬身差。G1馬11頭の豪華決戦の余韻を楽しむように、悠々とゴールを駆け抜けた。

 9万大観衆を前にしたレーンの顔は紅潮していた。

 「偉大な馬です。コックスプレートも勝って、成長を感じていたので自信を持って乗った。でも、今は2つの気持ちが入り交じっている。確かにハッピーなんです。ただ勝ったら次の競馬をすぐ考えるけど…。これまで乗ってきた馬では一番強い。世界一を狙えるかもしれないので残念です」

 ラストランは分かっていた。特例で認められた1日限定免許。だから、悔いのない騎乗を…。逃げたアエロリットが前半5F58秒5のオーバーペースと見るや、中団インで脚をためた。「スタートは出たけど、速いと思って自分のペースを守った。4コーナー?あまりに手応えが良くて外に出した。(自国の)豪州でも1週間通してこれだけ盛り上がるレースはない。素晴らしい有馬記念に乗せていただいたことを感謝しています」

 表彰台で照明を浴びた矢作師は感激に震えていた。

 「感無量ですね」

 開業15年目にして初の有馬記念挑戦。5歳になって、令和に元号が変わり、宝塚記念→コックスプレートと急成長を見せた愛馬で大仕事を成し遂げた。「有馬記念は競馬ファンにとって一年の集大成。特別な思いがあるし、言葉では言い表せないものがあります」

 輸送減に悩んだのは昔話。この日はデビュー以来最高の468キロ。筋肉ムチムチの堂々たるボディーに変貌を遂げていた。指揮官は「豪州遠征の後、有馬に向かう過程でまた一段と成長した。だから、悔いのないようにしっかり仕上げたんです」と目を細めた。

 牝馬による同一年の春秋グランプリ制覇は史上初の快挙。今年G13勝。年度代表馬の座も狙える快進撃で、22戦の華麗な競走生活に終止符を打った。師は「素晴らしい、ありがとう。史上まれに見る名牝だと思う」と愛馬に最大の賛辞を贈った。

 年明けの1月19日、エリザベス女王杯を制した思い出の京都競馬場で引退式が行われる予定。初めての花婿はロードカナロアが候補に挙がっている。香港、豪州も走り抜き、国内も世界も制圧した遅咲きの名牝。小雨降る師走の中山で「優美な百合」は見事に咲き誇った。

 ◆リスグラシュー 父ハーツクライ 母リリサイド(母の父アメリカンポスト) 牝5歳 栗東・矢作厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績22戦7勝(うち海外3戦1勝) 総獲得賞金12億1720万100円。

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