石崎隆之「全ての馬に感謝」地方歴代3位6269勝 63歳船橋の名手が引退式

[ 2019年3月16日 05:30 ]

引退セレモニーに駆けつけた戸崎(左)横山典(右)と笑顔で記念撮影する石崎隆
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 今月いっぱいで現役引退する地方歴代3位、6269勝の名手・石崎隆之(63=船橋)が14日、船橋競馬場で引退会見、セレモニーを行った。昨秋に引退を決断し「出来過ぎの騎手人生だった」と振り返り、約45年のジョッキー生活に別れを告げた。また、この日の船橋は全12レースに同騎手関連の名をつけて施行された。

 石崎隆は87年から01年まで15年連続で南関東リーディングジョッキーに輝いた。その実績が示すように最後のセレモニーにもファンから多くの歓声が飛んだ。「ありがとう!!」「お疲れさま!!」JRA騎手の戸崎圭太、横山典弘が駆けつけたのもその実力と人柄のおかげだろう。そしてその声に応えた言葉は…。

 「全ての馬に感謝です。最高の騎手人生でした」

 結果的にラスト騎乗となったのが18年7月17日の浦和6Rマスオ(4着)。その時は引退を考えていなかったが、直後に病気が見つかり半月の入院を余儀なくされた。「筋肉が落ちた。年も年だし、調教に乗れないようでは駄目」と昨秋に辞める決断をしていた。

 これまで数々の名馬を背に活躍してきたが、石崎隆が基本姿勢にしていたのが「自ら調教をつけて馬を仕上げること」。98年に川崎記念、帝王賞、東京大賞典の交流G1を制覇したアブクマポーロしかり、01年に南関史上初の無敗3冠(羽田盃、東京王冠賞、東京ダービー)を達成し、続くジャパンダートダービーも制し3歳4冠(東京王冠賞は02年に廃止)を獲ったトーシンブリザードもそうだった。それだけに調教に乗れなくなったことから「引き際だな」という結論に。

 昨年、佐々木竹見氏(77=元川崎)の7151勝を抜いて通算勝利記録を伸ばし続ける的場文男(62=大井)は「何年にもわたってライバル関係が続いて乗っていて楽しかった。負けたくない気持ちもあったし、あの時はお互い(騎乗的に)ハイレベルなところで競っていた。武豊君より凄かったぞ」と懐かしんだ。

 潔い石崎隆らしく今後は「競馬に携わらない」という。後輩騎手には「かっこよく、ケガをしないで悔いのないようにやってほしい」と言葉を掛けたが、まさに自分を振り返ったこと。我が競馬人生に悔いなし。希代の名ジョッキー石崎隆之がステッキを置いた。

 ◇石崎 隆之(いしざき・たかゆき)1956年(昭31)1月29日生まれ、北海道中川郡美深町出身の63歳。船橋競馬(千葉県騎手会)所属。73年7月11日に騎手デビュー。同年8月28日、船橋で初勝利。地方全国リーディングは通算10回。NARグランプリでは創設90年から13年連続最優秀騎手賞。94年阪神WSJSで地方勢初の総合V。地方通算3万6121戦6269勝、中央通算1089戦74勝。重賞は地方188勝(南関東183勝、他地区5勝)、中央1勝。

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