菜七子、G1初騎乗V熊沢からエール「いつも通り乗ればいい」

[ 2019年1月31日 05:30 ]

藤田菜七子
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 JRA女性騎手史上初のG1騎乗を果たす藤田菜七子(21)に30日、昭和最後のオークスで史上初のG1初騎乗初優勝を成し遂げた熊沢重文(51)からエールが届いた。当時の熊沢は菜七子と同じ☆(負担重量1キロ減)で、未完のジョッキー。同騎手は「G1でもレースはレース」との心構えと同時に、自身の経験から直線の長い東京のコース形態は経験の浅い若手騎手を後押しするとの見解を示した。また、菜七子がフェブラリーS(2月17日、東京)でタッグを組むコパノキッキング(セン4=村山)に2月8日に初騎乗することも決まった。

 今月25日、51歳になった熊沢は88年のオークスでコスモドリームとコンビを組み、G1初騎乗V。史上初の偉業を達成した。当時はデビュー3年目で、菜七子と同じ☆(1キロ減)の若手だった。一戦ごとに吸収、成長を遂げる時期。「本当にいいタイミングで乗せてもらったと思う。細かい指示はなかったけど要所、要所もらさず乗れれば、結果はついてくるかなと思っていた」。自然体の騎乗で鮮やかな差し切りを演じてみせた。

 しかも、東京競馬場で乗るのも初めてだった。「関西圏から出たことがなかったからね。東京駅に着いたら、布施さん(元調教師)がいて競馬場まで連れていってもらったんだ」と懐かしそうに振り返る。

 熊沢が勝因の一つに挙げるのが東京という舞台。当時からコースはリニューアルされているが、直線が長いレイアウトは同じ。「直線が長いというのは頭にあったし、いい意味でコース形態がプラスに働いたかな。4コーナーでも手応えがあったし、追いだしを焦らないように気をつけたんだ。若くして乗ったが、冷静に乗れたと思う」。G1初騎乗Vの偉業は過去2人だけ。91年天皇賞・秋(プレクラスニー)の江田照も舞台は東京だった。焦らずに馬を信じて乗ることができる東京は、経験の浅い若手にとって“追い風”になると見ている。

 くしくも菜七子の夢舞台も同じ東京。加えて熊沢とは違い、菜七子は東京経験も豊富だ。フェブラリーSと同舞台(1600メートル)での2勝を含め東京ダートで計7勝を挙げている。

 競馬界の大先輩は30歳も年下の菜七子にこうエールを送る。「G1でも、いつも通り乗ればいい。レースはレースだから。冷静に乗れれば、結果はついてくるんじゃないかな」。昭和最後のオークスで生まれた大偉業。今度は平成最後のフェブラリーSで新たな歴史がつくられる。

 【88年オークスVTR】22頭立て。桜花賞馬アラホウトク、同2着シヨノロマンが1、2番人気を分け合った。コスモドリームは条件戦のはなみずき賞(当時は400万下)を勝ったばかりで10番人気。スルーオベストが後続を8馬身ほど離しての大逃げ。ドリームは後方待機から3〜4角で好位まで押し上げた。4角で後続が一気に差を詰め、残り200メートルで桜花賞3着フリートークが先頭へ。上位人気が伸びあぐねる中、馬群の外を伸びたドリームが残り100メートルで前を捉え、マルシゲアトラスの追い上げを振り切った。

 ◆熊沢 重文(くまざわ・しげふみ)1968年(昭43)1月25日生まれ、愛知県出身の51歳。86年3月2日に阪神7Rで騎手デビュー(ジュニヤーダイオー5着)。初勝利は同29日の阪神8Rジュニヤーダイオー。88年オークスのコスモドリームでG1初勝利を飾り、91年有馬記念ではブービー14番人気ダイユウサクでV。12年中山大障害勝利(マーベラスカイザー)など、障害でも活躍。JRA通算1万4943戦1029勝(平地793勝、障害236勝)。重賞31勝。血液型O。

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