【阪神JF】武豊×藤沢和師!鬼脚シェーンでカムバック

[ 2018年12月6日 05:30 ]

ストロボスコープ(手前)と併せ追い切るシェーングランツ(撮影・郡司 修)
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 8週連続G1制覇中の外国人旋風を止められるのは、この黄金コンビしかいない。2歳女王決定戦「第70回阪神JF」(9日)の追い切りが5日、美浦、栗東両トレセンで行われ、一昨年の2歳女王ソウルスターリングの妹シェーングランツが切れ味満点の末脚を披露した。藤沢和雄調教師(67)が仕上げて、武豊(49)が騎乗する。平成最後の秋に実現した最多勝コンビ8年ぶりのG1タッグで外国人騎手の連勝にストップをかける。

 偉大な姉さえ上回る末脚だった。ドイツ語で「美しい輝き」(シェーングランツ)と名付けられた2歳牝馬が姉ソウルスターリングとうり二つの青鹿毛を躍らせる。上質な琉球漆器を思わせる漆黒の輝き。わずかに鞍上の手が動いただけで上体が沈み込んだ。2馬身先行したストロボスコープ(4歳500万)に造作もなく馬体を並べて5F69秒9〜1F12秒5。「調教時計は遅いが柔らかい動きで楽に来た。お姉ちゃんみたいに力まないのがいいよね」と藤沢和師も納得の表情を浮かべた。

 前走・アルテミスSでは後方一気の末脚でレースレコードV。3連勝で2歳女王に輝いた姉の大きな背中を追いかけるように2連勝で重賞初制覇を飾った。姉は菅笠(すげがさ)、妹は日傘という。この素質あふれる姉妹も母スタセリタの嫁ぎ先がフランケルからディープインパクトに替わって気性が真逆だ。「お姉ちゃんは張り切り屋。前向きすぎて力むから競馬では楽に前に行けるけど、上がりが遅い。妹はのんびり屋で力まない。だからテンに行けない分、しまいは伸びる」。師は姉妹の違いを説明すると、いたずらっぽい笑みを浮かべながらこう続けた。

 「伸びしろ?調教師はじいさんだけど、馬は若いから当然あるよ。騎手はディープインパクトはもちろん、その子供にも乗っているベテラン。うまくリードしてくれるさ。初コースで大丈夫か?阪神は武豊君のお庭だよ」

 現役最多勝を更新する調教師、騎手の黄金コンビ。アルテミスSでは04年桜花賞(ダンスインザムード)以来14年ぶりの同コンビによる重賞制覇だった。G1でタッグを組むのは10年阪神JF以来8年ぶり。

 「阪神はどう?」

 「外回りならいいと思います」

 2人のレジェンドは前走後にこんなやりとりをしている。「(前走は)さすが良血馬、さすが藤沢和厩舎って競馬。序盤は自分から走る気がない感じだったけど、直線で外に持ち出すと急にフォームが変わった。最後はお世辞抜きに凄い脚」と滞在先の香港で語った武豊。「また一緒にG1を勝ちたいね」

 ブエナビスタ(08年)・ジョワドヴィーヴル(11年)以来2度目の阪神JF姉妹制覇へ。快挙をもたらすのは偉大な姉さえ上回る末脚と、レジェンドコンビだ。

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2018年12月6日のニュース