【秋華賞】チャーム100点!金メダル級の柔軟性と機能美

[ 2018年10月10日 05:30 ]

驚くほど機能美なミッキーチャーム
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 可憐(かれん)な容姿に宿る柳のようにしなやかで折れない強さ。縦横無尽に跳躍する体の律動。ルーマニアの“白い妖精”ナディア・コマネチがモントリオール五輪の表彰台に立ったのは秋華賞の前身、エリザベス女王杯が創設された76年の夏でした。14歳にして五輪体操競技初の10点満点を記録し、一躍世界のヒロインになった天才少女。ミッキーチャームの立ち姿は緊張気味に五輪の表彰台に上がった白い妖精の記憶を呼び起こしてくれます。

 思わず息をのむほどバランスの整った体。鼻先から頭、首差し、キコウ、背中を経由してトモ、尾の先に至るまで柔らかな曲線を描いている。各部位が無駄なくリンクしているからです。飛節やつなぎも絶妙な角度。白いレオタードの代わりに茶色の被毛を身につけた3歳牝馬はコマネチの体のような機能美に満ちている。名牝の相を伝える輪郭です。筋肉は発達途上。今後、鍛えられる中でボリュームアップしていくはずですが、筋肉の質はしなやかで柔軟に映る。馬名通りにチャーム(才能、魅力)を感じさせる美少女の姿です。

 立ち方には少女らしい気負いがあります。頭と尾の付け根を少し上げ気味にして浮足立っています。五輪の表彰台に初めて上がった白い妖精のような緊張感が伝わってきます。それでも四肢は全く流れず、定位置にしっかり着けている。気負ってもブレがない。天才少女の資質なのでしょう。

 今夏の未勝利戦から3戦連続圧勝で秋の大舞台へ。1000万条件を勝ったばかりでG1どころか、重賞も未経験です。しかし、時として才能は経験を凌駕(りょうが)します。14歳のコマネチを想起させる可憐な容姿に宿った柳のようなしなやかさ。その妖精の体にモントリオール五輪と同じ満点をつけます。(NHK解説者)

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2018年10月10日のニュース