モーニンを託してくれた石坂正師へ恩返しを

[ 2018年9月14日 05:30 ]

コリアスプリント勝利直後のモーニンと濱名助手(撮影・平松さとし)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】「おめでとうございます」

 そう言いながら右手を差し出すと、「勝っていますか?」と言いながらも手を握り返してきた。結果は頭差の勝利。鼻差ではない。それでも心配に思えるところに担当馬への愛情が感じられた。

 9日、韓国のソウル競馬場。コリアスプリント(韓国G1)を勝利したのはモーニン。石坂正厩舎で同馬を担当するのが濱名浩輔持ち乗り調教助手(34)だった。彼がこの世界に入るきっかけとなったのは02年、武豊騎手がタニノギムレットで優勝した日本ダービーだ。

 「ダービーを見て、外からではなく、中から携わりたいと考えるようになりました」

 06年7月にトレセン入りし、栗東・石坂厩舎で働き始めた。わずか1カ月少々で初勝利。さらに2年目に担当したブルーメンブラットでは08年のマイルCSを制覇。トレセン入り後、たった2年でG1を制した。

「良く分からないうちに勝ってしまいました」

 11年にはタニノギムレットの子、クレスコグランドが京都新聞杯に挑んだ時、父同様、鞍上にいた武豊騎手に「タニノギムレットのダービーを見て、この世界に入った」エピソードを告げると、同騎手は言った。

 「じゃ、決めて来るわ」

 そして実際に1着ゴール。しかし、ダービーで5着に敗れると、G1の重みを初めて知った思いがした。更に3年が過ぎ、5年がたって、G1を勝つのがいかに大変かひしひしと感じるようになった。

 14〜15年にはしばらく勝てない時期が続いた。そんな時、石坂師から「面白い馬がいるからやってみるかい?」と声を掛けられた。その馬は15年の春に既走馬相手の未勝利戦でデビュー勝ちすると、翌16年にはフェブラリーSを優勝。それがモーニンだった。

 濱名助手の現在の目標は「残り2年半で解散する石坂厩舎に少しでも恩返しできるよう頑張る」ことだと言う。

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2018年9月14日のニュース