【朝日杯FS】ナヴィオン 2歳女王アデラ破ったぶっ飛び鬼脚

[ 2014年12月17日 05:30 ]

坂路で調整するナヴィオン

 2歳王者決定戦「第66回朝日杯フューチュリティS」は今年、中山芝マイルから阪神芝マイルに舞台を移して行われる。枠順の有利不利が少なく“ごまかしが利かない”舞台だけに、非凡な瞬発力を持つナヴィオンには最も持ち味が生きるコースで、決め手勝負になれば侮れない存在だ。

【朝日杯FS】

 名伯楽の相馬眼は確かだった。ナヴィオンは橋口師が生産地の浜本牧場で“ひと目ぼれ”してオーナーに購入を勧めた馬。「全体的にシルエットが格好良くて。馬も人間と同じで美人な人は誰が見ても美人だからね」。師は胸がときめくほどのインスピレーションを感じたという。全容はレースを見れば明らか。新馬戦は後方から直線一気に上がり最速3F32秒7の鬼脚でV。先週2歳女王に輝いたショウナンアデラ(2着)を破った。

 一瞬で相手をかわす破壊力は生まれ持ったものだ。師は「瞬発力は母父ラストタイクーンから継いでいるね。背腰がしっかりとしているので走りのバランスが崩れない。状態も高いレベルで安定している。阪神外回りは一番力を発揮できる舞台だと思うよ」と手応えを口にする。デビュー2戦目は操縦性に優れるがゆえの落とし穴だった。新潟2歳Sはテンに置かれ4角では17番手。直線は3F33秒4の脚で猛追するも、スローの流れでは厳しく6着に終わった。

 「テンのスピードがないわけではないが、出していかないと行かない馬。だからあえて千四の距離でペースに慣れさせた」。続くききょうSは好位で流れに乗って差し切り勝ち。愛馬はきっちりと課題をクリアして素質の片りんを示した。前走のデイリー杯2歳S(3着)は道中で掛かった馬に3角手前で前に入られる不利が響いたもので「引っ張る場面もあってポジションが下がった。力負けではない」とトレーナーに悲観の色はない。

 1週前追い切りは坂路でリフトザウイングス(6歳1000万)と併せ4F52秒6~1F13秒7。僚馬に半馬身遅れたものの自身の伸び脚はしっかりとみせた。稽古をつけた元ジョッキーの赤木助手は「馬場状態を考えれば十分。体全身を使った大きなストライドで、ギアが入った時の走りは一流馬にしかないものを持っている」と確かな感覚をつかんでいる。

 今年から舞台が阪神芝マイルに替わったのも追い風。枠順の有利不利はなくなり、決め手が生きるコースになる。2歳女王を下したナヴィオンにも、王者の資格は十分にある。

 ≪馬名の由来≫米国製の軽飛行機「ライアン・ナヴィオン」より。部隊や基地間の小規模輸送や情報伝達を行う「連絡機」に分類される。70年代の米国テレビ映画にも登場した。

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2014年12月17日のニュース