【マイルCS】武豊、G1・100勝達成!ラー導き史上空前の大記録

[ 2013年11月18日 05:30 ]

直線で剛脚を繰り出したトーセンラーでG1・100勝を達成した武豊

 天才が空前の大記録に到達した。秋のマイル王決定戦「マイルチャンピオンシップ」が17日、京都競馬場で行われ、武豊騎手(44)が2番人気トーセンラーで勝ち、昨年(サダムパテック)に続く連覇。地方、海外を含むG1・100勝を達成した。88年菊花賞(スーパークリーク)から、着々と積み重ねて到達した快挙に、関係者からも称賛の声が上がった。

【レース結果】

 また一つ、新たな金字塔を打ち立てた。力強く、そして鮮やかに。武豊、G1・100勝目。いくつもの記録を更新してきた競馬界の革命児。福永を筆頭とした後輩の成長、岩田ら地方競馬から移籍した名手の台頭など、ライバルの追い上げは急だが、この記録が破られることだけは今後ないだろう。何せ、現役2位の横山典、岩田が26勝。武はほぼ4倍というのだから、その差は圧倒的だ。トーセンラーを駆り、目の覚めるような末脚を引き出して制したマイルCS。「長年かけて積み重ねてきた数字。いろいろな場所で勝ってきた。素直にうれしい」。笑顔がお立ち台で映えた。

 決して特別な言葉を並べるわけではない。感慨深い表情など見せない。口調に熱を帯びたのは、初めてのマイル戦で圧倒的なパフォーマンスを演じたトーセンラーに対してだった。「あんな脚を今まで使ったことはない。びっくりした」。自分のことより馬のこと。これが勝負師の本能。25年以上、最前線で日本の競馬を支えてきた男の本音だった。

 今年のダービー、キズナでG1・99勝目。リーチをかけたのも、大台に乗せたのも、あの大種牡馬の産駒だ。「2頭ともディープインパクトの子だね」。史上最強と信じて疑わない怪物。いや、武自らがキャッチフレーズをつけた「英雄」だ。「走ったなんてもんじゃない。飛んだ」「世界一強いと確信している」。そう語ってきた日本競馬の至宝。その子で記録を作れたことに不思議な縁を感じつつ、心から感謝した。

 ただ、ここで終わらないのが武豊。「そうは言っても、あまりディープインパクトの子に乗っていないから」。そう言って周囲を笑いの渦に巻き込んだ。意外かもしれないが、サービス精神旺盛で、トレセンでは冗談ばかり言っている。こうも言える。頭の回転が速く、知識豊富でなければ、人を笑わせることなどできない。武には、それがある。十分過ぎるほどある。だからこそ、騎乗馬やライバル馬、ライバル騎手の癖やコースの傾向をつかみ、圧倒的な白星を積み重ねてきたのだ。

 早い時期から海外に目を向けてきた。海外G1はフランス、英国、香港、ドバイで7勝。思い出の勝利を聞かれ、「早く、凱旋門賞と言えるようにしたいよね」。44歳。だが、ここは通過点にすぎない。目標は、まだいくつも残っている。次なるターゲットは朝日杯FS(12月15日、中山)を勝って、JRA平地22競走の全冠制覇。武豊の挑戦はまだまだ終わらない。

 ◆武 豊(たけ・ゆたか)1969年(昭44)3月15日、京都府生まれの44歳。父は武邦彦元調教師、弟・幸四郎も騎手。妻は元タレントの(旧姓佐野)量子さん。87年騎手デビュー。同期は蛯名正義。同年69勝を挙げ、当時の新人最多勝利記録をマーク。同年、京都大賞典(トウカイローマン)で重賞初勝利。以後、全国リーディング18回をマークし、競馬人気をけん引。米国、フランスへの長期遠征を敢行するなど早くから海外にも目を向けてきた。日本ダービー5勝は単独トップ。JRA通算1万8073戦3587勝。1メートル70、51キロ、血液型O。

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