ポスト・アンカツ3度目の正直 3・2からはJRAの戸崎!

[ 2013年2月8日 06:00 ]

合格の一報を受けた戸崎は自ら書いた「自分に勝つ」の前でガッツポーズ

 「ポスト・アンカツ」の期待を託せる男が夢をかなえた。JRAは7日、13年度新規騎手免許試験合格者6人を発表。南関東のトップ、戸崎圭太(32=大井)が3度目の受験で合格した。地方からの移籍の道を開いた安藤勝己元騎手が引退した年に、入れ替わるように移籍した大物への期待は大きい。来月での廃止が決まっている福山競馬の岡田祥嗣(41)も9度目の受験で突破。仲間の思いも背負って中央の舞台に挑む。

 午前11時、マネジャーから合格と聞いた戸崎は、晴れ晴れとした表情で、船橋競馬場事務棟内に設けられた会見場に現れた。「2次試験(先月29日)から、きょうまで長く感じた。ホッとしている」。率直な感想を述べると、黒板に大きく「自分に勝つ」と記した。「小さい頃から、この言葉を胸に置いてやってきた。何事も、まず自分に勝つこと」。新たな騎手人生への決意表明だった。

 名手がそろう南関東で、若くしてトップに君臨した男。「ポスト・アンカツ」と期待される戸崎が中央移籍を考え始めたのは05年のこと。1次試験に挑んだが不合格だった。翌年からは受験を封印。再挑戦は、所属する南関東で頂点を極めてからと心に誓った。「挑戦したい気持ちはそのまま。もっと大きな翼を付けてから羽ばたくべきと思った」。08年、リーディングに君臨してきた内田が中央移籍。大黒柱を失った大井競馬を盛り上げ、08年から昨年まで5年連続でリーディングを守り続けた。

 再受験の大きなきっかけとなったのが11年安田記念。リアルインパクトで中央G1初制覇を飾り、中央移籍の夢が再燃した。同年の秋の1次試験は不合格。「目の前が真っ白になったが、次の日から気持ちを切り替えて勉強した」。騎乗数を減らすことなく、空き時間に参考書と格闘。努力が実り、3度目の受験となった昨秋の1次試験に合格。2次試験もクリアし、夢はかなった。「最初は騎乗と勉強の両立がきつかったが、やるにつれて面白くなってきた。コツコツやってきたことが報われた」。決意通り「自分に勝った」瞬間だった。

 大目標をかなえた男は、この日、船橋で7、8、9Rを3連勝。夜のNARグランプリ表彰式でも握手攻め。絶対的な存在感を放ち続けた。「勝利数や勝ちたいレースなど目標は決めず、乗せてもらった馬を1つでも上の着順に持ってくる。その気持ちを忘れたくない」。3月2日、戸崎はJRA騎手としての第一歩を踏み出す。

 ◆戸崎 圭太(とさき・けいた)1980年(昭55)7月8日、栃木県生まれの32歳。大井・香取和孝厩舎所属。98年4月12日、大井で初騎乗初V。08年306勝で初の南関東リーディング。昨年まで5年連続南関東1位(08、09、11、12年は全国1位)。東京ダービーは07年アンパサンド、08年ドリームスカイ、10年マカニビスティー、11年クラーベセクレタと、2度の連覇を含む4勝。地方重賞55勝。中央は11年安田記念(G1=リアルインパクト)など3勝。15111戦2318勝(7日終了現在)。血液型B。

 ▼内田博幸 念願がかなったね、おめでとう。ますます活躍すると思うけど、お互いに育ててくれた地方競馬への恩を忘れず、受け入れてくれた中央競馬にも“来てくれてよかった”と思ってもらえるように頑張ろう。それが一番の恩返しになるはずだから。

 ▼武豊 地方からまた大物が来たね。知らない仲じゃないよ。一緒に食事したこともある。年齢も若いし、JRAで既にG1も勝った実績からも、活躍するのは間違いない。

 ▼小牧太 安藤さんが引退されて地方出身では僕が最年長。頼もしい後輩、うかうかしていられないよ。

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