【NHKマイルC】アルフレード 2歳王者の反攻期

[ 2012年5月3日 06:00 ]

<NHKマイルC>エキナシア(奥)と併せ追い切るアルフレード

 無敗2歳チャンプが完全復活だ。3歳マイル王決定戦「第17回NHKマイルC」の追い切りが2日、美浦、栗東トレセンで行われ、昨年の朝日杯FSを制したアルフレードが圧巻の走りを披露した。手綱を取るのはオーストラリアの“G1請負人”クレイグ・ウィリアムズ(34)。朝日杯以来の助っ人を得て2度目のタイトル獲りへ前進した。同レースは、3日、出走馬が確定する。

 美浦トレセン調教師席で坂路のモニター画面を見つめていた手塚調教師の表情がみるみるうちに緩んでいく。視線の先にはアルフレード。「一変しているぞ。迫力が戻ってきた」と言い残し、愛馬を出迎えるため調教師席を飛び出していった。

 坂路コースで披露したのはまぎれもない王者の脚さばきだ。雄大なフットワークを伸ばして、2馬身先行したエキナシア(4歳1000万)との差を詰める。鞍上・武士沢(レースはウィリアムズ)の手綱はピクリとも動かない。一瞬にして馬体を並べると、余裕たっぷりに併入。ラスト1Fは11秒9の瞬発力だ。馬場入り前には耳を絞って周囲の馬を威嚇する王者ぶりを披露したが、追い切りでも2歳チャンプの金看板にふさわしい走りを見せつけた。

 1度の敗戦には100通りの敗因があるという。アルフレードの前走・スプリングS12着大敗に手塚師は敗因を矢継ぎ早に並べた。1つは朝日杯FSを好時計勝ちした疲れ。「前走時の追い切りではきょう(2日)のような迫力がなかった。馬体も寂しく映った。疲労を引きずっていた」。前走の馬体重は休み明けにもかかわらず朝日杯FSから6キロ減。そこで4週後に迫った皐月賞出走を断腸の思いで見送り、さらに3週先のNHKマイルCへ目標を切り替えた。「疲労を取り切る時間が必要だった。そのかいあって体にも十分な張りがある」と同師は言う。

 「スプリングSはノメり通し。道悪が全てという感じ」。前走に騎乗した松岡がこう振り返ったように、重馬場も敗因の一つ。跳びが大きいだけに他馬よりこたえた。だが、今週末は好天予報。再びノメる心配はない。

 東京コースは未経験だが「もともと右腰が甘かったから左腰を軸にする左回り(東京コース)の方がより力を出せるはず。しかも、3回とも負けていない距離だから」と同師は自信を隠さない。

 昨年のNHKマイルCは前年の2歳チャンプ、グランプリボスが制した。今年は10頭目(84年グレード制導入以降)の無敗2歳王者が皐月賞を自重して万全の態勢を整えている。「ウィリアムズは自分の馬が一番強いと思って乗ってくれればいい。東京で2歳時の輝きを取り戻したい」。47歳の気鋭トレーナーは言い放った。

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2012年5月3日のニュース