【高松宮記念】ダックマンがG1ダッシュマンに

[ 2012年3月23日 06:00 ]

 【G1ドキュメント=22日】坂口厩舎の待機ルーム、高松宮記念を狙うエーシンダックマン担当の村田洋一厩務員(62)は「どれでも好きなの飲んで」と井上に温かい缶コーヒーを勧めた。栗東の早朝の気温0度。馬場開門からかなり時間は経過していたが、ストーブとコーヒーがありがたかった。この道44年目の大ベテランは柔和な表情で井上の質問を待った。

 ダックマンは5歳6勝馬だが重賞は未勝利。2走前のシルクロードSでロードカナロアの2着に逃げ粘ったが、前走・オーシャンSは7着。G1で下馬評が低いのも当然だ。「相手が強すぎるからね。それに以前の中京と違って今は差し馬に有利なコースだし」と気負いのない語り口。

 が、井上はダックマンの胸のすくような逃げならG1でも十分通用するとみた。73年天皇賞・春、村田さん担当のシンザンミサキは剛腕・久保敏文を背に3着。この重賞2勝馬はその年の高松宮杯(当時は中京芝2000メートル)でも2着。「あの頃は良かったね。懐かしい」と同年代の井上と昔話に花が咲いた。

 ダックマンは昨年12月から今回6戦目だが、それまでの休養と村田さんのケアで相変わらずエネルギッシュ。「稽古はこの馬なりに動いているし、カイバも上がったことはない」と状態に太鼓判を押す。相手強化を認めながらも「テンの3Fを自分のペースで行ければひょっとしたらひょっとするかも。だけど、そううまく行くかな…」とリラックス。直線の坂に不安がないのは阪神芝2戦2勝を見ても明らか。天下一品のダッシュ力で自分の形に持ち込めば、大歓声を独り占めできる。

続きを表示

2012年3月23日のニュース