【安田記念】スマイルジャック“伝説級”78秒8

[ 2011年6月2日 06:00 ]

三浦騎手を背に単走で追い切るスマイルジャック

 【G1ドキュメント=1日】伝説の追い切りをまた1つ目撃したかもしれない。ストップウオッチを握りながら鈴木はニヤリとした。

 スマイルジャックの最終追いはWコースで三浦を背に3頭併せ。セイエイ(3歳未勝利)、ブートジョロキア(同)を実に4秒3も後方から追走した。着実に差を詰めるものの4コーナーでまだ4馬身のビハインド。しかも外を回した。だが、そこからが凄かった。四肢を繰り出し、みるみるうちに接近。セイエイには1馬身及ばなかったがブートはしっかり捉え切った。6F78秒8の猛時計。ベテラン記者の間から「凄かったなあ」の声が上がった。

 「78秒台はなかなか出せないよ」と小桧山師も笑顔だ。「実戦さながらの調教で切れを引き出したかった。安田記念は3度目の正直となるが今回がラストチャンスかな、とも思う。いい結果を残したい」。過去2年は9、3着。今年こその思いは強い。

 三浦も同じだ。「心臓に負担の掛かる追い切りをしたかった。格下相手なので、あれくらいの追走は予定通り」と事もなげに語り「強気の競馬で粘れた東京新聞杯(1着)が人馬とも自信になっている。あと一歩。何とかG1に手が届けば」と祈りを込めた。

 抜群の追い切りを経て、G1を手にした馬を鈴木は何頭も見てきた。例えば、直線で猛獣のような迫力を漂わせ、06年天皇賞・秋を制したダイワメジャー。あの伝説の追い切りとスマイルジャックの猛烈デモが重なって見えた。悲願の戴冠はあるかもしれない。

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2011年6月2日のニュース