【阪神JF】マルモセーラ根性で下馬評覆す

[ 2010年12月10日 06:00 ]

 【G1ドキュメント・9日】「この世界、子供が生まれたら馬が走るって言いますよね。それなのかも」

 井上もそういう類の話をトレセン取材34年で何度も聞いた。木原厩舎の待機室、阪神JFを目指すマルモセーラの持ち乗り・尾形正人助手(31)は端正なマスクをほころばせる。昨秋結婚。長女・美央(みお)ちゃんが今年4月22日に生まれた。尾形さんがマルモセーラを担当して1カ月だった。結婚をはじめ人生の大きなウエーブゾーンの中で、愛馬は重賞ウイナーにまでなった。
 「血統はいいけど兄弟が走ってない。でも、獣医師さんに“いい心音してる”って言われていたし、馬格もあるので1つか2つ勝ってくれるかも…その程度の気持ちはありました」
 7月阪神新馬戦2着のあと秋は未勝利→G3ファンタジーSを連勝。それも16番人気→3番人気→4番人気。地味なイメージだが中身とガッツが違う。前走は初の控える競馬。直線で一瞬行き場をなくしたが気迫で抜け出した。「あの根性は予想以上でした。普段はおとなしくて扱いやすいですよ」
 JRA競馬学校出身だが、牧場時代を入れると31歳でもキャリア11年。鼻面をなでる尾形さんをセーラも信頼し切っている。「試金石です。桜花賞もほぼ同じメンバーでしょ。ここでどんな競馬をするか楽しみにしてます」。今回も下馬評は高くないが、不気味なムードが充満している。

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2010年12月10日のニュース