365日 あの頃ヒット曲ランキング 5月

【1979年5月】魅せられて/生活激変したジュディ・オング タイミング合ったレコ大受賞

[ 2011年5月3日 06:00 ]

79年12月31日、レコード大賞で「魅せられて」を歌うジュディ・オング
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 ★79年5月ランキング★
1 魅せられて/ジュディ・オング
2 燃えろいい女/ツイスト
3 いとしのエリー/サザンオールスターズ
4 ビューティフル・ネーム/ゴダイゴ
5 YOUNG MAN/西城秀樹
6 夢追い酒/渥美二郎
7 きみの朝/岸田智史
8 窓/松山千春
9 ピンク・イフーン/ピンク・レディー
10 ハピネス/タケカワユキヒデ
注目カリフォルニア・コネクション/水谷豊
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【魅せられて/ジュディ・オング】

 純白のドレスを羽のように広げた衣装は老若男女、すべてに強いインパクトを与えた。小学生が意味も分からず男女のきわどい仲を描いた歌詞を口ずさみながら、学校や自宅のカーテンを使って物まねするほど、ジュディ・オングが歌った「魅せられて」はこの年、ちまたで流行った。

 子役からスタートして芸歴20年。1、2年に1回のペースでリリースしていた7枚目のレコードがブラジャーのCMがきっかけで有線とラジオの電話リクエストに火が付いた。

 全国から「誰が歌っているか知らないけど、女の人で♪好きな男の腕の中でも違う男の…、とか歌っているあの歌」という感じで電話が次々とかかり、今度は発売から2カ月が過ぎ、歌手がジュディ・オングと分かると、今度はレコード売り上げにも波及。1日で10万枚の注文が入るなど、オリコンチャートで4月16日付から9週連続1位に輝いた。

 作詞はヒットメーカーの阿木燿子。筒美京平の曲は全編にギリシアの復弦楽器「ブズーキ」を効果的に使い、オリエンタルムードが漂った。「この歌を出した時期、曲、詞との出会い、すべてタイミングがピタリと一致した。スタッフにも恵まれ、CMの話があり、映画(エーゲ海に捧ぐ)の宣伝イメージソングにもなった。人生と同じ、タイミングが大事」とジュディは当時のインタビューで答えている。

 思わぬ大ヒットで生活は激変した。体調を壊した経験から、1日8時間睡眠を徹底していたが、忙しさのあまり半分の時間に。体調不良で病院に担ぎ込まれることもあった。歌番組の出演が相次ぎ、顔が売れると雑誌の取材にCM、グラビア、主演テレビドラマ、果ては全国交通安全運動の1日警察署長まで務めることにもなった。

 中でも驚きだったのが、出演がほぼ決まっていた映画「将軍」の出演を製作発表当日に辞退したこと。スケジュール上、かなりの日数を拘束される撮影は、歌手活動をする上で厳しかった。所属のCBSソニーは124万枚をセールスした、この曲で悲願の日本コード大賞受賞を狙っていたからだった。

ハリウッド進出を見送ってまでの選択は大賞受賞という形で報われ、いつもは「みかんを食べながら家で見ていた」紅白歌合戦にも初出場した。

 ところで、あの独特の衣装、実は広げた部分にエーゲ海の映像を映し出す演出が予定されていたという。実際は歌うまでに映像が間に合わずで企画はボツに。企画通りの演出が当時見られたら、さらに話題になったことは間違いないだろう。

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