365日 あの頃ヒット曲ランキング 5月

【1974年5月】うそ/ジゴロのにおいがする27歳新人の中条きよし 実は…

[ 2011年5月20日 06:00 ]

大ヒット曲となった中条きよしの「うそ」
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 ★74年5月ランキング★
1 うそ/中条きよし
2 なみだの操/殿さまキングス
3 私は泣いています/りりィ
4 積木の部屋/布施明
5 学園天国/フィンガー5
6 告白/野口五郎
7 くちなしの花/渡哲也
8 さらば友よ/森進一
9 花とみつばち/郷ひろみ
10 恋は邪魔もの/沢田研二
注目お手やわらかに/夏木マリ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

 【うそ/中条きよし】
 オリコンチャートで3月18日からトップを走り続けてきた、殿さまキングスの「なみだの操」の連続1位を5月20日に8週でストップさせたのは、少々ニヒルな感じのする“いい男”だった。

 新人歌手を発掘するよみうりテレビオーディション番組「全日本歌謡選手権」で10週連続勝ち抜き、グランドチャンピオンになったことがきっかけで、審査員の作詞家・山口洋子の命名によって“デビュー”した中条きよし(本名・下村清)。山口の作詞と同じく審査員だった、平尾昌晃の作曲で74年1月にリリースした“デビュー曲”は105万枚をセールスした、ミリオンヒットとなった。

 中条きよし、としての“デビュー曲”ではあったが、実はその6年前に一度歌手デビューしていた。コロムビアから高波明の名前でレコードをリリース。しかし、鳴かず飛ばずで、改名して再出発したが、うまくゆかず、一時勤め人をしたことも。「全日本…」に出場した時は、東京・赤坂でスナックを経営していた。

 オーディションに出場した時はすでに27歳。「ちょっとテレくさかった。周りは自分の弟や妹のような人ばかり。こんなおじさんはいなかった」。それでも甘い声にしっかりした歌唱力と落ち着き、山口をして「ジゴロのにおいがする」という雰囲気はスター性十分。音楽業界で名が知れた山口と平尾の2人の後押しは、その素材に最後のスパイスを加えた形となった。

 独身と言われていたが、妻子がいることも発覚。7月には大阪から東京へ戻る日航機に搭乗中、ハイジャックに遭うなど、ヒットともになにかと騒がしい1年だった。

 高校卒業後、大阪で劇団に所属していた時期もあった。元来役者志望でもあり、その後テレビドラマや映画、舞台にもシフト。80年代に人気を博した、テレビ朝日系「必殺仕事人」の「三味線屋の勇次」は、中条の特長を十分に生かした当たり役となった。

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