「御上先生」教科書検定のシーン、なぜ描かれた? 視聴者から疑問も…背景探り見えた“物語の本質”

[ 2025年2月16日 08:08 ]

日曜劇場「御上先生」第4話。隣徳学園3年2組のシーン(C)TBS
Photo By 提供写真

 俳優の松坂桃李(36)主演のTBS系日曜劇場「御上先生」(日曜後9・00)の第4話が、9日に放送された。3年2組の生徒たちが「教科書検定」についてディベートを行い、文化祭で展示するという踏み込んだ内容。視聴者からさまざまな意見が上がっている。

 <以下、ネタバレあり>

 同作は、松坂演じる東大卒の「文部科学省エリート官僚」が出向で私立高3年の担任教師になったことを機に、生徒を導きながら教育制度を現場から壊して権力に立ち向かう物語。映画「新聞記者」などで知られる詩森ろば氏によるオリジナル脚本で、「ドラゴン桜」(21年)や「VIVANT」(23年)、「アンチヒーロー」(24年)など数多くのヒット作を手掛けた飯田和孝がプロデューサーを務める。

 第4話は、教室での出来事がクローズアップされた回だった。3年2組の生徒・東雲温(上坂樹里)が、文化祭で「教科書検定」に関する展示を行いたいと提案。紆余曲折ありながらも、文化祭での展示は成立。生徒たちと御上の関係が一歩前進した展開が話題を集めた。

 一方で、視聴者からは「教科書検定とか文科省とか全然わからない」「御上先生の教科書検定、副大臣のキレポイントがよう分からん」「教科書検定の何が問題なのか論点があまりに曖昧」など、教科書検定を取り上げることへの疑問の声も上がった。

 教科書検定に関しては、第3話で東雲の父が「独自の教材で授業を行っていたことが発覚して、文科省から学習指導要領違反を問われた」「それが原因で両親は離婚した」と告発し「御上先生、そういうこと考えたことありますか。文科省が決めたルールのせいでめちゃくちゃになる家庭があるって…」と問題提起していた。御上は「特に中学の学習指導要領は、わかりづらいと不評でね。官僚の間でもなんとかしないといけないってよく話題になってる。だから痛快な解説ではあるけど…」と、官僚の間でも問題視されていると明かしていた。

 この流れを受けての第4話。教科書検定の展示への歩みを前に、生徒たちが第二次世界大戦での原爆投下についての議論するシーンが描かれた。帰国子女・倉吉由芽(影山優佳)が、アメリカの学校では「原爆投下は仕方なかったと教えられる」と吐露し、そこから議論に発展。御上は「原爆を肯定する言葉が載っている教科書がある。なぜならそれがその国の正義だからだ。同じように人や国の数だけ正義があるんだ。自分の正義だけは通ると信じていたら誰とも話はできないよ」と指摘している。

 このように、物事には立場によってさまざまな見方があるのに、教科書は画一されている。教科書検定の最大の問題点は「現場で教える公立学校の小、中学校の教師が直接教科書を選べない」こと。そして、その教科書を使用しないだけで教職を追われることもある。同作では、この点を問題視したとみられる。

 教科書検定問題で家庭崩壊されたと主張する東雲は、この出来事を通じて、物語のテーマにもなっている「パーソナル・イズ・ポリティカル」を理解する。「先生、私、分かった気がします。個人的なことは、政治的なこと」と納得。御上は「そうだね。だから学習指導要領は、家庭の平和も守らなきゃいけないのかもしれないね」と答える。「教科書検定」という、当たり前だと思っていた制度は、実は個人に通じている…ということが強調されたエピソードとなった。

 教科書検定を巡っては、08年に戦時中の日本軍による国民への集団自決強要の描写などを巡り裁判に発展するなど、たびたび問題が起きている。この08年の裁判では、文科省副大臣が検定意見の撤回を求める要請書を沖縄県民らから受け取るも、撤回に否定的な発言を残している。これらの背景が、作中での「副大臣がキレた」描写につながっている可能性もある。

 だが、この第4話では「教科書検定」そのものへの疑問よりも、教科書検定問題を通じて「パーソナル・イズ・ポリティカル」を視聴者に伝えたかったのだ…という見方もできる。

 生徒たちは教科書検定について東雲や富永蒼(蒔田彩珠)を中心に、自分で調べ、その上で意見を述べていることが印象的だった。御上が初回から繰り返している「考えて」の指摘が、勉強一辺倒だった生徒たちを成長させていることがうかがえる。

 考える力をつけ始めた生徒たちは、御上とともに今後どのような物語を歩んでいくのか。注目の第5話は、16日に放送される。

続きを表示

「松坂桃李」特集記事

「美脚」特集記事

芸能の2025年2月16日のニュース