浜圭介氏「もっと長生きして、もっと歌ってほしかった」 八代亜紀さん代表曲「舟唄」「雨の慕情」作曲

[ 2024年1月11日 05:30 ]

浜圭介氏

 昨年12月30日に亡くなった歌手八代亜紀さん(享年73)の悲報から一夜明けた10日、代表曲「舟唄」や「雨の慕情」を手がけた作曲家の浜圭介氏(77)が取材に応じ「もっともっと歌っていてほしかった」としのんだ。

 「昨日(9日)訃報を聞いてから、心に穴があいたよう。最近は会ってなかったけど、ご自身の番組で僕の曲を特集してくれたり、ありがたかった。本当にショックで、ノックダウンされちゃった」

 作詞家阿久悠さんと手がけた79年の「舟唄」、80年の「雨の慕情」が大ヒット。「港町絶唱」と合わせ「哀憐(あいれん)三部作」と呼ばれた。

 浜氏にとっては75年に北原ミレイの「石狩挽歌」が売れた後で、次のヒットへ模索していた時期だった。この時に頼ったのが、本紙の音楽担当記者で音楽プロデューサーでもあった小西良太郎さん。「電話したら、この3曲の詞を送ってくれた」と明らかにした。

 「舟唄」は元々、阿久さんが本紙連載「阿久悠の実践的作詞講座」の美空ひばりさん編用に書いたものだった。「僕はそれを知らなくて。詞を読んで、曲を書く時にイメージした人はひばりさんだった。偶然なんだけど」。これがめぐりめぐって八代さん初の男歌となった。「本当に完璧に歌ってくれて、聴いてて鳥肌が立った」と絶賛した。

 八代さんの凄さは「作品の情景、詞の内容を自分の体に入れて、演じるように歌ってくれること」だという。作詞家、作曲家が作品に込めた思いを読み解き、ストレートに表現する力にたけていた。

 「舟唄のように男っぽい歌い方もできるので、哀愁が出てくる。雨の慕情は午後3時から4時ごろの歌なんだけど、それを把握した上で、雨々ふれふれと少し明るい八代節で表現してくれた。レコーディングも3、4回歌ってすぐにOK。阿久さんも僕もダメ出しするところがない。楽しかったね」と懐かしそうに振り返った。

 「雨の慕情」は80年の日本レコード大賞を受賞。2曲のヒットは「僕にとっての大ジャンプ」となり、作曲家としてさらなる高みへ押し上げてくれた。

 阿久さんや昨年5月に他界した小西さんに続き、八代さんもこの世を去った。「寂しいね。もっと長生きして、もっと歌ってほしかった」と惜しみ「本当にありがとうと言いたい」と感謝した。

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