藤井叡王250手防衛 激戦制した2度の千日手指し直し

[ 2023年5月29日 04:50 ]

<叡王戦第4局>タイトルを防衛し感想戦で対局を振り返る藤井6冠(撮影・沢田 明徳)
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 将棋の第8期叡王戦5番勝負は28日、岩手県宮古市の浄土ヶ浜パークホテルで第4局を行い、2度の千日手指し直しの末、後手の藤井聡太叡王(20)=王将、竜王、王位、棋王、棋聖含む6冠=が挑戦者・菅井竜也八段(31)を下した。合計250手に及ぶ熱戦を制し、シリーズ成績3勝1敗で3連覇を達成。6冠を維持した藤井はこれでタイトル獲得通算14期となり、歴代では単独7位に浮上した。

 午前9時に始まった対局に決着がついたのは午後9時8分。半日に及ぶ激闘を制した藤井からは、どこか余力が感じられた。2度目の指し直し局を「こちらの攻め駒が少なく、うまくいっていないと思っていた」と省みながらも「際どかったが、最後は抜け出せました」と快勝劇にほぼ納得の表情。異例のロングランを手堅く収め、叡王のタイトルを危なげなく防衛した。

 千日手局は鬼門だ。本局前まで10度の指し直しを経験していたが、結果はなんと5勝4敗。通算勝率8割を優に超える異次元の勝ちっぷりを誇る藤井にしては、らしくない凡庸な数字だ。
 しかも1日に2度の千日手。昨年6月3日の棋聖戦第1局(対永瀬拓矢王座)以来の体験だ。当該局は用意周到に準備した筋に進行するのを嫌った永瀬に勝負を降りられたのが計算外。結局「3局目」で完敗を喫している。

 健啖(けんたん)家で知られ、体力に絶対の自信を持つ永瀬。今局の相手、菅井もジム通いが趣味の「体育会系棋士」だ。フィジカル勝負になると分が悪い。だがこの日は違った。後手番だった2度目の指し直し局は16手まで1分以内でテンポよく指した。立ち上がりを決断よく進行し、時間消費と体力消耗を極力防ぐことに成功。24手目に15分23秒、28手目に21分12秒を投じた以外は省エネ的な指し回し。ペース配分の妙は昨年を確実に上回っている。

 加えて精神力もさらにたくましさを増した。2度目の指し直し局で菅井が3度目の千日手を選ぶ筋があった場面を「そういうことも考えていました」と「第4局」も辞さずの構えだったという。なんともタフな20歳だ。

 「全体でも苦しいシリーズでしたが、その中でも結果が出せたのはうれしいです」

 6冠を守った藤井は31日開幕の第81期名人戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)第5局に中2日で臨む。こちらのシリーズ成績は3勝1敗。次のターゲットは史上最年少名人&史上最年少7冠だ。 

 《菅井八段「力不足」》
 力尽きた菅井の目は、心なしか赤かった。2度目の指し直し局は3度目となる千日手の選択権があったが「さすがに気が引けた」。勇躍攻め合いに挑んだものの、決定的な読み抜けがあり、最後は大差がついた。「気合は入っていたが、シリーズ1勝3敗…。力不足だと思っています。まあ…、力不足です」と悔しさを隠そうとしなかった。

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